工工四
歌詞
ませこまてをれば ここてるさあもの
おす風とつれて 忍でいらな
訳
籬垣の内に引き籠っていれば心淋しく切なくなるので、
そよ風と共に恋しい人のところへ忍んで行きましょう。
ませ
- 籬垣 = 竹や柴など、植物を編んで作った垣。ませ、籬とも呼ばれている。
※当時使用されていた籬垣に関する写真資料が見つからないため、イメージ画像として掲載しています。
解説
「首里節」は首里城の奥御殿で生活をする城人の心の内に秘めた切情を詠み込んだ歌曲です。
城人とは宮廷に仕える女官のことで、国王の身の回りの世話や首里城内の多岐にわたる雑務を果たしていました。
当時、首里城内では女性が取り仕切る御内原という奥御殿があり、王妃をはじめ士家の婦人、城人が生活を共にしてました。
城人は独身の女性から選任され、その中には御内原に住み込みで働く者もいたので、自由恋愛も適わず常に制限された環境下に身を置いていたそうです。
補足
「首里節」は、他にも首里城で生活をする琉球王国の王女や士家の婦女によって詠まれた琉歌が集録されています。
その中から、琉球王国の王女が詠んだと云われる琉歌が悲恋の物語として現代に語り継がれています。
首里節(作:琉球王国の王女)
あかいづ羽御衣や 濡れらはもばかり
里がかたみちやうべ ぬらすきやこと
※下句のみ違う場合あり。
(里が片んちゃべ ぬらす心気)
訳
とんぼ羽のような衣装は濡れても仕方のないことですが、
愛しい人の髪が濡れることは心痛ましめる。
かたみちやうべ
- 欹髻の敬称。明治以前の琉球王国時代、成人男性が頭頂部の髪の毛を中剃し、周辺の髪の毛を小さくまとめて結った髪型。
欹髻
その関係を知った父王が激怒し、花当はついに処刑されてしまいます。
悲しみに果てた王女は後を追って崖から身を投じてしまう悲恋の物語です。
弾出
「首里節」、「ぢやんな節」、「しよどん節」の三節を同じ宴席にて演奏する場合、工工四の弾出(前奏)は最初に演奏する曲目のみに適用します。
他の二節は弾出の箇所を省略して、通常通り三行目の開始音符から演奏します。
※工工四要確認
昔節
「首里節」は古典音楽の昔節(※1)の分類に属し、「仲順節」のチラシ(※2)につないでいきます。
「仲順節」- 古典音楽
工工四 印刷・保存 【工工四について】 歌詞 別れても互にわかりてぃんたげに 御縁あてからやぐゐんあてぃからや 糸に貫く花のいとぅにぬくはなぬ 散りてぬきゆみちりてぃぬちゅ ...
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昔節(※1)の分類
ちらし(※2)
つないで演奏する終結部の楽曲。
楽曲の熱を徐々に散らしながらおさまりをもたせる構成をとります。
御供ともいいます。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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