古典音楽

「ぢやんな節」- 古典音楽

工工四

三線を再生印刷・保存

 

歌詞

 

昔ごとやすがんかしぐとぅやすぃが なままでも肝になままでぃんちむに

忘ららぬものやわすぃららんむぬや あれが情ありがなさき

 

昔のことになるが、今も心に残って

忘れられないことは、あの人の情である。

あれあり

  • 直接的な意味は「あの人」になるが、琉歌においては男性から女性を指す語句として用いることがある。対して女性から男性を指す語句は「あまあま」を用いる。
  • 類義語:「無蔵んぞ」は”思いを寄せる”女性を指し、「さとぅ」は”思いを寄せる”男性を指す。

なさき

  • 他人をいたわる心
  • 思いやり
  • おもむき
  • あじわい

 

解説

人生老境に入り、過ぎ去りし若き日の思い出を回想しながら現在の心中しんちゅうを述べた歌曲です。

ぢやんなじゃんな」の語句は「温かな」、「優しいさま」を言いあらわしており、歌も終始、おだやかな曲想で進行していきます。

年月が過ぎ去っても人の記憶に残り続けるものは人をいたわるやさしい心、なさきなのでしょう。

 

浜辺を歩く女性(追憶シーン)

追憶

 

補足

 

弾出ひきだし

ぢやんな節じゃんなぶし」、「首里節しゅりぶし」、「しよどん節しゅどぅんぶし」の三節を同じ宴席にて演奏する場合、工工四くんくんしー弾出ひきだし(前奏)は最初に演奏する曲目のみに適用します。

他の二節は弾出ひきだしの箇所を省略して、通常通り三行目の開始音符から演奏します。

工工四くんくんしー要確認

 

昔節んかしぶし

ぢやんな節じゃんなぶし」は古典音楽の昔節んかしぶし(※1)の分類に属し、「大兼久節うふがにくぶし」のチラシ(※2)につないでいきます。

 

クバ笠
「大兼久節」- 古典音楽

工工四 三線を再生印刷・保存 【工工四について】   歌詞   名護の大兼久なぐぬうふがにく 馬走らちいしやうしやうんまはらちいしょしゃ 舟走らちいしやうしやふにはらちいしょしゃ  ...

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昔節んかしぶし(※1)

古典音楽の中でも古くから存在し、演奏時間、演奏技術ともに大曲である楽曲を大節うふぶしと呼び、創作された年代や曲想により、昔節んかしぶし大昔節うふんかしぶし中昔節なかんかしぶしに分類されます。

作田節ちくてんぶし」、「ぢやんな節ぢゃんなぶし」、「首里節しゅいぶし」、「しよどん節しゅどぅんぶし」、「暁節あかつぃちぶし」の五曲を総称して、昔節んかしぶしまたは前の五節めえぬいつぃふしと呼んでいます。

また、「茶屋節ちゃやぶし」、「昔蝶節んかしはびるぶし」、「長ぢやんな節ながぢゃんなぶし」、「仲節なかぶし」、「十七八節じゅうしちはちぶし」の五曲を総称して、大昔節うふんかしぶしまたは後の五節あとぅぬいつぃふしと呼びます。

 

ちらし(※2)

つないで演奏する終結部の楽曲。

楽曲の熱を徐々に散らしながらおさまりをもたせる構成をとります。

御供ともいいます。

 


 

参考文献(沖縄の本)のイメージ画像
参考文献一覧

書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...

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ニライカナイから遊びにやってきた豆電球ほどの妖怪です。

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好きな飲み物:葉先のしずく

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