古典音楽

「暁節」- 古典音楽

工工四

三線を再生印刷・保存

 

歌詞

 

暁やなゆりあかつぃちやなゆゐ いきやおさうずめしやいがいちゃうそぅずぃみしぇが

別るさめとめばわかるさみとぅみば 袖の涙すでぃぬなみだ

 

夜明け前になりましたが、(貴方は)どうなされますか。

お別れかと思うと、(私の)袖は涙に濡れています。

あかつぃち

  • 夜半から夜明け前の時分
  • 夜明け、明け方

いきやおさうずめしやいがいちゃうそぅずぃみしゃが

  • 如何いかがお思いになられますか
  • どうなされますか

 

解説

暁節あかつぃちぶし」はしたいあう二人の束の間の時間が過ぎ去り、夜明けを迎えて別れを惜しむ哀情あいじょうみ込んだ歌曲です。

一説によると、歌詞の”いきやおさうずめしやいがいちゃうそぅずぃみしゃが”は、首里の士族の間で使われていた言葉であることから、御殿殿内うどぅんとぅんち(※1)を舞台にした恋歌であるとわれています。

また、”袖に涙すでぃぬなみだ”の歌詞は切実な情感をあらわしており、数日単位の短い別れではなく遠い旅路に出る数年単位の別離を表現しているのではないかと考えられます。

 

御殿殿内うどぅんとぅんち(※1)

御殿うどぅんは王族が住む邸宅を指し、殿内とぅんちは上級士族の屋敷を指します。

首里にはこうした格式の高い住居が数多く存在し、総称して御殿殿内うどぅんとぅんちと呼んでいます。

 

暁(夜明け前)の空

暁(夜明け前)の空

 

補足

 

昔節んかしぶし

暁節あかつぃちぶし」は古典音楽の昔節んかしぶし(※1)の分類に属し、「瓦屋節からやぶし」のチラシ(※2)につないでいきます。

その際、「瓦屋節からやぶし」の歌詞は下記の琉歌でうたわれます。

 

替え歌

旋律が借用しゃくようされ、原歌と替え歌の関係が派生したのは最古の歌謡が集録しゅうろくされている「おもろ」の時代からであり、今日に至るまで一つの伝統形式として成り立っています。

『おもろさうし』 は12世紀から17世紀にかけて島々でうたわれていた歌謡を採録さいろくし、1531年から1623年にかけて編纂へんさんされた最古の歌謡集です。

「おもろ」の語源は 「思いうむい」 を意味します。

 

瓦屋節からやぶし

惜しむ夜やふけてうしむゆやふきてぃ 明雲も立ちゆりあきぐむやたちゅい

にやまたいつ拝でにゃまたいつぃをぅがでぃ ももきのびゆがむむちぬびゅが

 

夜がふけるのは惜しいのに、夜明けの雲が出てきてしまった。

またいつお会いして、命が延びる思い(楽しいひと時)ができましょうか。

ももきのびゆがむむちぬびゅが

百気むむち延びゆが = 命が延びる思い

 

南窯(那覇市壺屋)2
「瓦屋節」- 古典音楽

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昔節んかしぶし(※1)

古典音楽の中でも古くから存在し、演奏時間、演奏技術ともに大曲である楽曲を大節うふぶしと呼び、創作された年代や曲想により、昔節んかしぶし大昔節うふんかしぶし中昔節なかんかしぶしに分類されます。

作田節ちくてんぶし」、「ぢやんな節ぢゃんなぶし」、「首里節しゅいぶし」、「しよどん節しゅどぅんぶし」、「暁節あかつぃちぶし」の五曲を総称して、昔節んかしぶしまたは前の五節めえぬいつぃふしと呼んでいます。

また、「茶屋節ちゃやぶし」、「昔蝶節んかしはびるぶし」、「長ぢやんな節ながぢゃんなぶし」、「仲節なかぶし」、「十七八節じゅうしちはちぶし」の五曲を総称して、大昔節うふんかしぶしまたは後の五節あとぅぬいつぃふしと呼びます。

 

ちらし(※2)

つないで演奏する終結部の楽曲。

楽曲の熱を徐々に散らしながらおさまりをもたせる構成をとります。

御供ともいいます。

 


 

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参考文献一覧

書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...

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