工工四
歌詞
あたり苧の中ご 真白ひき晒ち
里があかいず羽 御衣よすらね
訳
屋敷内の畑に植えた苧の芯部を真っ白にさらして、
大切な人へとんぼの羽のように薄くて上質な着物をつくって差し上げましょう。
あたり
- 屋敷のまわり
- 屋敷の裏
苧
- 学術的には植物の苧麻(別名:からむし)のことを指しますが、沖縄本島では糸芭蕉に対しても同じく「苧」と呼んでいることから、両方の植物を曲目の解釈として示す。
中ご
- 芯
里
- 女性が思いを寄せる男性に対して使う言葉。男性が女性を呼ぶときは「無蔵」と呼ぶ。
あかいず羽
- 秋津 = 蜻蛉の古い呼び名。蜻蛉の羽。
解説
「清屋節」は愛する人へ蜻蛉の羽のように美しく上質な着物を織って差し上げたいと健気な女性の気持ちを詠み込んだ歌曲です。
琉球王国時代より染織文化の盛んな沖縄では、かつて家庭の畑に植えてある苧麻や糸芭蕉を採取し、植物の繊維を剥ぎ取って一本一本の糸を作るまでの工程を手仕事でおこなっていました。
大人一人分の着物を織るには約200本もの糸芭蕉が必要で、全ての工程を半年以上の期間をかけて完成させます。
補足
節名の由来
本曲の節名は囃子の”チュラヤ チュラヤ"(※工工四参照)からとったもので、着物が美しく仕上がる様子をあらわしています。
また、最古の琉歌集である『琉歌百控』(※1)には「美屋節」の字があてられています。
『琉歌百控』(※1)
上編「乾柔節流」、中編「独節流」、下編「覧節流」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂された最も古い琉歌集です。
ちらし
「清屋節」は大昔節(※1)の「仲節」のちらし(※2)として演奏されます。
「仲節」- 古典音楽
工工四 印刷・保存 【工工四について】 歌詞 けふのほこらしややきゆぬふくらしゃや なをにぎやなたてるなをぅにぢゃなたてぃる つぼでをる花のつぃぶでぃをぅるはなぬ 露きやた ...
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大昔節(※1)の分類
ちらし(※2)
つないで演奏する終結部の楽曲。
楽曲の熱を徐々に散らしながらおさまりをもたせる構成をとります。
御供ともいいます。
古典舞踊
古典舞踊のカテゴリーでは「清屋節」が舞踊曲として演奏される「苧引」について解説しています。
「苧引」 - 古典舞踊/女踊り
つなぎ節:歌詞 あたり苧やうみやりあたいをぅやうみやい はたいん布織やりはてんぬぬうやゐ 玉黄金里がたまぐがにさとぅが 御衣よすらねんしゅゆすぃらに 訳 屋敷のまわりの畑に ...
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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