古典音楽

「芋の葉節」- 古典音楽

工工四

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歌詞

 

芋の葉の露やうんむぬふぁぬつぃゆや 真玉よかきよらさまだまゆかちゅらさ

赤糸あぐまきにあかちゅあぐまちに 貫きやりはきやりぬちゃゐはちゃゐ

 

芋の葉の露は真珠の玉より美しい、

赤紐に通して首にかけてみたい。

赤糸あぐまきあかちゅあぐまち

  • 複数の赤糸で編んだ紐飾り。

 

解説

芋の葉節うんむぬふぁぶし」は芋の葉にのった水滴を宝石にたとえ、自然が織りなす神秘的な造形美をたたえた歌曲です。

本曲に登場する芋の種類は甘藷かんしょ(サツマイモ)、田芋たーんむなどの諸説ありますが、「葉っぱが広く起毛していて露が玉になるものといえば、里芋やクワイのたぐいでいわゆる沖縄の田芋たーんむ鶴の子ちんぬくであり、昨今、芋という言葉はサツマイモのことをさすようになっているが近世の中頃まで山芋や里芋をさす言葉であった。」とわれています。参考:『沖縄ことばの散歩道/おきなわ文庫』

最古の琉歌集である『琉歌百控りゅうかひゃっこう』(※1)には原歌となる琉歌が収録されており、出自しゅつじが真和志間切安里村(現・那覇市安里なはしあさと)と記されています。

 

琉歌百控りゅうかひゃっこう』(※1)

上編「乾柔節流けんじゅうせつりゅう」、中編「独節流どくせつりゅう」、下編「覧節流らんせつりゅう」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂へんさんされた最も古い琉歌集です。

 

田芋の葉に乗った雫

田芋の葉に乗った雫

 

補足

 

舞踊演目

琉球舞踊の雑踊りぞううどぅい(※2)「むんじゅる」では、本曲をニ揚調にあぎちょう(三線の中弦なかじるを1音上げる)に調弦した「揚芋の葉節あぎうんむぬふぁぶし」が演奏されます。

 

雑踊りぞううどぅい(※2)

明治16年(1883)頃、琉球芸能が初めて入場料を取って興行こうぎょうがおこなわれて以来、芝居小屋で創作振り付けられた近代の舞踊。

琉球王朝が崩壊した後、歓待芸能を職としていた者が率いて踊りを披露していました。

 

ちらし

芋の葉節うんむぬふぁぶし」は昔節んかしぶし(※1)である「しよどん節しゅどぅんぶし」のちらし(※2)として演奏されます。

 

冬の夜半のイメージ(三日月)
「しよどん節」- 古典音楽

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昔節んかしぶし(※1)

古典音楽の中でも古くから存在し、演奏時間、演奏技術ともに大曲である楽曲を大節うふぶしと呼び、創作された年代や曲想により、昔節んかしぶし大昔節うふんかしぶし中昔節なかんかしぶしに分類されます。

作田節ちくてんぶし」、「ぢやんな節ぢゃんなぶし」、「首里節しゅいぶし」、「しよどん節しゅどぅんぶし」、「暁節あかつぃちぶし」の五曲を総称して、昔節んかしぶしまたは前の五節めえぬいつぃふしと呼んでいます。

また、「茶屋節ちゃやぶし」、「昔蝶節んかしはびるぶし」、「長ぢやんな節ながぢゃんなぶし」、「仲節なかぶし」、「十七八節じゅうしちはちぶし」の五曲を総称して、大昔節うふんかしぶしまたは後の五節あとぅぬいつぃふしと呼びます。

 

ちらし(※2)

つないで演奏する終結部の楽曲。

楽曲の熱を徐々に散らしながらおさまりをもたせる構成をとります。

御供ともいいます。

 


 

参考文献(沖縄の本)のイメージ画像
参考文献一覧

書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...

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ニライカナイから遊びにやってきた豆電球ほどの妖怪です。

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