工工四
歌詞
よすずめのなれば あひちをられらぬ
玉黄金使の にやきゆらとめば
訳
夜に静寂が訪れるとこうしては(じっとしては)居られない。
大切な人からの使いが間もなく来ると思うと。
よすずめ
- 夜のしじま
- 夜の静寂
あひち
- こうしては
玉黄金
- 大切な人
- 愛しい人
にや
- もう
解説
「十七八節」の由来には二つの説が存在します。
一つは思春期の年の頃、”十七・十八歳”に由来し、日が暮れて愛する人との逢瀬を待ちわびて詠った恋歌説。
もう一つは仏教の教えである”第十七願・第十八願”(※補足追記)に由来し、人生の晩年、極楽浄土の迎えを待って詠った説があります。
そして、二つの脈絡をつなぎ合わせると、若かりし頃の記憶が忘却の彼方に過ぎ去り、晩年に人生を回想しながら静かに極楽浄土(故人のいる世界)の迎えを待つ姿が浮かび上がります。
「十七八節」は三線の音符〔工〕の連続音が仏事で鳴らす鐘の音を想起させ、鎮魂的な深い精神の広がりをみせる曲想です。
補足
仏教の伝来
琉球における仏教の伝来は13世紀(1265年~1274年頃)に遡り、禅鑑という名の僧侶が浦添に極楽寺を創建したことが始まりとされています。参考:『中山世鑑』
仏教の教えには衆生(生きとし生けるものすべて)を救うために説かれた「四十八願」という経典があります。
この四十八の願文の根本を成している誓願が「第十八願」とされており、宗派によっては「第十七願」と組み合わせで説かれます。
大昔節
「十七八節」は古典音楽の大昔節(※1)の分類に属し、「本花風節」のチラシ(※2)につないでいきます。
「本花風節」- 古典音楽
工工四 印刷・保存 【工工四について】 歌詞 三重城にのぼてみぐすぃくにぬぶてぃ 打ち招く扇うちまにくあをぅぢ またもめぐり来てまたんみぐりちてぃ 結ぶ御縁むすぃぶぐゐん ...
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大昔節(※1)
ちらし(※2)
つないで演奏する終結部の楽曲。
楽曲の熱を徐々に散らしながらおさまりをもたせる構成をとります。
御供ともいいます。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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