工工四
歌詞
いな昔なるゑ あはれ語らたる
なれしい言葉の くたぬうちに
訳
もう昔のことになってしまったか、(別れの)悲しみを語り合ったのは。
馴れ親しんだ言葉は未だ朽ちていないのに。
いな
- 早や
- もう
あはれ
- 哀れ
- 悲しみ
なれしい
- 馴れた
- 馴れ親しんだ
- 聴き慣れた
くたぬ
- 朽ちていない
解説
「述懐節」(二揚調・下出し)は人生老境に入り月日が経つ早さを感じながら若かりし日の思い出を懐古して詠まれた歌曲です。
本曲は〔下出し〕の演奏技法を用いて歌い出しの音程を低くすることで哀調ある曲想に仕立てられており、また、三線の中弦を一音あげたニ揚調(調弦法)で演奏することにより悲哀の情感が一層深く表現されています。
人間やがて訪れる「老い」の憂いと葛藤しながら、静かにわが人生を振り返っていく様子が描かれています。
補足
舞踊演目
古典舞踊(他)のカテゴリーでは「述懐節」(二揚調・下出し)が舞踊曲として演奏される「本花風」について解説しています。
「本花風」 - 古典舞踊/女踊り
本花風節:歌詞 三重城にのぼてみぐすぃくにぬぶてぃ 打ち招く扇うちまにくあをぅぢ またもめぐり来てまたんみぐりちてぃ 結ぶ御縁むすぃぶぐゐん 訳 三重城にのぼって(出船)に ...
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また、雑踊り(※1)の「花風」では「花風節」の”ちらし”として本曲の旋律が演奏されており、演目全体を通してより一層深みのある曲想に仕立てられています。
雑踊り(※1)
明治16年(1883)頃、琉球芸能が初めて入場料を取って興行がおこなわれて以来、芝居小屋で創作振り付けられた近代の舞踊。
琉球王朝が崩壊した後、歓待芸能を職としていた者が率いて踊りを披露していました。
述懐節(二揚調・下出し)- 舞踊:花風
朝夕さもお側 拝みなれ染めの
里や旅しめて いきやす待ちゆが
訳
朝夕いつもお側にいて、お姿を馴れ親しんでおりましたのに
あなたが旅に出て行かれて、私はどうしてお待ちしましょうか。
音の調子
「述懐節」の節名がつく楽曲は本調子、ニ揚調など、音の調子を種々に編成し、それぞれが独立した歌曲として愛唱されてきました。
「述懐節」(本調子)- 古典音楽
工工四 印刷・保存 【工工四について】 歌詞 さらばたち別らさらばたちわから よそ目ないぬうちにゆすみねんうちに やがて暁のやがてぃあかつぃちぬ とりも鳴きゆらとぅゐんなち ...
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「述懐節」(ニ揚調)- 古典音楽
工工四 印刷・保存 【工工四について】 歌詞 拝でなつかしやをぅがでぃなつぃかしや まづせめてやすがまづぃしみてぃやすぃが 別ておもかげのわかてぃうむかぢぬ たたばきやしゆ ...
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「述懐節」(本調子・下出し)- 古典音楽
工工四 印刷・保存 【工工四について】 歌詞 いな昔なるゑいなんかしなるゐ あはれ語らたるあわりかたらたる なれしい言葉のなりしいくとぅばぬ くたぬうちにくたんうちに &n ...
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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