舞踊

「麾(ぜい)」 - 古典舞踊/二才踊り

2020年3月9日

渡りざうわたりぞう瀧落したちをぅとぅし:器楽曲

 

歌唱を伴わない楽器のみで演奏される器楽曲きがくきょく。(インストゥルメンタル)

 

揚作田節あぎつぃくてんぶし:歌詞

 

豊かなる御代のゆたかなるみゆぬ しるしあらはれてしるしあらわりてぃ

雨露の恵みあみつぃゆぬみぐみ 時も違はぬとぅちんたがん

 

豊かなる世のきざしがあらわれて、

雨露の恵みも時をたがわずに(与えてくださることは喜ばしいことです)。

 

浮島節うきしまぶし:歌詞

 

今日や御行逢拝できゆやういちぇうがでぃ いろいろの遊びいるいるぬあすぃび

明日や面影のあちゃやうむかじぬ 立ちゆと思みばたちゆとぅみば

 

今日はお逢いして色々な遊びをすることができ(楽しかった)。

明日、(今日の)面影が立つと思うと(心惜しくなります)。

 

演目の構成

流派によっては、「揚作田節あぎつぃくてんぶし」の後にさらに「浮島節うきしまぶし」を加えて踊りを納める構成があります。

 

麾(ぜい)の舞踊写真

- 琉球古典舞踊 二才踊り「麾(ぜい)」 -

 

ぜい」:演目解説

 

あらまし

勇壮な手踊りと力強い足運び、そして手に持つぜいたくみにあつかいながら平安な世を祈願して演じられる祝儀舞踊しゅうぎぶようです。

ぜいとは、合戦時に武将が指揮をする際に使用していた道具を指します。

演目は一本ぜいと二本ぜいで演じられる形式がみられ、天保3(1832)年の江戸上り(※1)を記録した『琉球人舞楽御巻物』(参考文献:一覧)には、一本ぜいの姿をした様子が描かれています。

 

江戸上り(※1)

徳川将軍の襲封しゅうほう時のお祝いに派遣される慶賀使けいがしと、琉球国王の即位時のお祝いに派遣される恩謝使しゃおんしが江戸幕府へおもむくことを指します。

寛永11(1634)より計18回おこなわれ、琉球王府の使節団は各100名前後で構成されていました。

 

御免琉球人行列附の画像

御免琉球人行列附 - 提供:国立国会図書館

 

みどころ

演目は、器楽曲きがくきょくの「渡りざうわたりぞう」、「 瀧落したちをぅとぅし」と「揚作田節あぎつぃくてんぶし」の三曲、または「浮島節うきしまぶし」を加えた四曲構成で演じられます。

流派によって演目の所作や構成に違いがみられますが、本文では一本ぜいの形式に沿って「浮島節うきしまぶし」を加えた四曲構成の大まかな流れを記していきます。

器楽曲きがくきょく渡りざうわたりぞう」の演奏より《角切りすみきり※2》で登場し、舞台中央で基本立ちになると、地謡じうてーの掛け声と共に器楽曲きがくきょく瀧落したちをぅとぅし」に移り、空手の型を基礎とした一連の勇壮な手踊りと力強い足運びに抑揚よくようをつけて踊っていきます。

器楽曲きがくきょくの演奏終了と共に舞台中央で後ろ向きに座って、腰に差しているぜいを手に持ち、次の曲目につないでいきます。

揚作田節あぎつぃくてんぶし」では、全体を通して手に持つぜいを四方に打ち振って、平安な世を寿ことほぎながら表現していきます。

浮島節うきしまぶし」は、短い演奏時間のなかにぜいの一連の振りを凝縮させ、一場いちじょうのよろこびをテンポ良くあらわしながら踊りを納めていきます。

 

角切りすみきり※2》

踊り手が舞台を斜めに、下手奥しもておくから上手手前かみててまえへ向かって対角線上に歩み出ること。

流派によっては、演目構成や所作が異なる場合があります。

 

画像準備中のイラスト
「若衆麾(ぜい)」 - 古典舞踊/若衆踊り

渡りざうわたりぞう、 瀧落したちをぅとぅし:器楽曲   歌唱を伴わない楽器のみで演奏される器楽曲きがくきょく。(インストゥルメンタル)   辺野喜節びぬちぶし:歌詞   ...

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補足

 

ぜい」の歴史

ぜい」の歴史を紐解ひもといていくと、「踊番組(※3)」には演目名、舞台構成に関連性のある「ぜい」の演目が5種類記録されており、下記1~4番までは二本ぜいで、5番のみ一本ぜいの形式がとられています。

  1. ぜい - 「辺野喜節びぬちぶし」、「浮島節うきしまぶし
  2. ぜい - 「東里節あがりざとぅぶし
  3. ぜい - 「揚作田節あぎつぃくてんぶし
  4. ぜい - 「ひやんかん節
  5. ぜい - 「江佐節えさぶし

 

「踊番組(※3)」

慶応2(1866)年におこなわれた寅年御冠船を記録した文献。(南島採訪記より

 


 

参考文献(本)のイメージ画像
参考文献:一覧

書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において、参考にした全ての文献をご紹介します。     1.『定本 琉球国由来記』 著者:外間 守善、波 ...

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マブイ

ニライカナイから遊びにやってきた精霊。
伝統芸能の継承と発展を見守りつづけています。

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