工工四
歌詞
遊びぼしやあても まどに遊ばれめ
首里天ぎやなし お祝やこと
訳
遊び(歌、三線、踊り)を楽しみたくとも、日頃は遊ぶことはできない、
(今日は)首里国王の御祝いである(から宴を楽しむことができる)。
遊び
- 集い
- 歌、三線、踊りなどを楽しむ宴
- 催し事
まどに
- 平日
- 普段
- 日ごろ
※その他、"暇"や"隙"という意味がある。
首里天ぎやなし
- 琉球王朝時代の国王の敬称
- 首里天 = 首里城の国王
- ぎやなし(加那志) = ~様といった敬称に用いる
解説
「浮島節」は国王の祝宴を待ち望んでいた大衆(若者)の心情を詠み込んだ歌曲です。
かつて島の各村では「遊び」と呼ばれる若者の集いが存在しましたが、当時、風紀の乱れを懸念した琉球王府が厳しく規制したことにより、徐々にその姿を消していきました。
唯一、国王の御祝いは「遊び」が許された数少ない機会でもあったので、若者たちの喜びも一入であったことでしょう。
代表的な琉球国王の御祝い事には王位継承を祝した冊封儀式があり、1396年頃から1866年の約500年間に渡って計24回 執り行われてきました。
現在も当時の催しを再現した「首里城祭(首里城復興祭)」が年に一度開催されています。(写真は国王を任命する際に文書を読み上げる宣読台)
遊びは民謡や楽器の演奏技術、舞踊、民話などの文化伝承の場として交流をおこない、また、結婚適齢期の男女の出会いの場としての機能も果たしていました。
補足
原歌
最古の琉歌集である『琉歌百控』(※1)には「浮島節」の原歌が収められており、沖永良部嶋(現・奄美群島・沖永良部島)の出自が記されています。
原歌の音数率は琉歌の八・八・八・六調とは異なり、江戸末期に流行した都々逸(定型詞)と呼ばれる七・七・七・五調で詠まれています。
浮島節(原歌)
扨も見事な 永良部の嶋や
地から離て 浮島小
訳
さても見事な永良部の島は、
地から離れて浮かぶ小さくてかわいい島だ。
小
- 小さいもの、かいわいいものに対する愛称
『琉歌百控』(※1)
上編「乾柔節流」、中編「独節流」、下編「覧節流」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂された最も古い琉歌集です。
古典舞踊
古典舞踊のカテゴリーでは「浮島節」が舞踊曲として演奏される「麾」、「湊くり節」、「若衆麾」について解説しています。
「麾(ゼイ)」 - 古典舞踊/二才踊り
渡りざう、瀧落し:器楽曲 「渡りざうわたりぞう」、「瀧落したちをぅとぅし」は歌唱を伴わない楽器のみで演奏される器楽曲きがくきょくです。(インストゥルメンタル) 揚作田節:歌 ...
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「湊くり節」 - 古典舞踊/二才踊り
湊くり節:歌詞 かさに音たててかさにうとぅたてぃてぃ 降たる夏ぐれもふたるなつぃぐりん なまや打ち晴れてなまやうちはりてぃ てだどてゆるてぃだどぅてぃゆる なまや打ち晴れて ...
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「若衆麾(ゼイ)」 - 古典舞踊/若衆踊り
渡りざう、瀧落し:器楽曲 「渡りざうわたりぞう」、「 瀧落したちをぅとぅし」は歌唱を伴わない楽器のみで演奏される器楽曲きがくきょくです。(インストゥルメンタル) 辺野喜節: ...
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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