舞踊

「若衆特牛節(こてい節)」 - 古典舞踊/若衆踊り

2019年6月12日

特牛節くてぃぶし:歌詞

 

常盤なる松のとぅちわなるまつぃぬ 変わる事無さめかわるくとぅねさみ

何時も春来りばいつぃんはるくりば 色ど勝るいるどぅまさる

 

四季を通して緑に生い茂る松は、永遠に変わることはありません。

いつものように春が訪れれば、さらに緑色が増すばかりです。

 

特牛

強く大きな雄牛おうしのこと。昔は、将来性のある若者を牛にたとえて呼んでいたようです。

 

常盤

春夏秋冬、一年を通して緑色の常緑樹じょうりょくじゅのこと。

 

若衆特牛節の舞踊写真

-琉球古典舞踊 若衆踊り「若衆特牛節」-

 

若衆特牛節わかしゅくてぃぶし(こてい節)」:解説

 

あらまし

元服じんぷく(※1)前の若衆わかしゅが踊る演目で、笛と太鼓の音色と共に厳粛げんしゅくなかけ声にのって登場します。

一年を通して葉が枯れることのない松の生命力にあやかり、これからの長い人生、未来に向けて幸先さいさきを祈る祝儀舞踊しゅうぎぶようです。

 

元服じんぷく(※1)

琉球王国時代に行われていた、数え歳15歳を祝う成人の儀式。

 

特牛節くてぃぶし

特牛節くてぃぶし」は、14首の歌詞が存在し、琉球王府の国王の前で演じる際に最もふさわしい一首に振り付けられました。

 

前奏

三線の歌持ちから略式で入る構成もあります。

 

みどころ

首里城を思わせるような鮮やかな緋色ひいろの衣装ににしき陣羽織じんばおりをはおって、金銀の扇を手に持ち登場します。

舞台下手奥しもておくから上手奥かみておくへ向かって直線を歩み、舞台中央に基本立ちするまでの所作に、若衆わかしゅ初々ういういしさに品格を兼ね備えた精神性をみることができます。

笛と太鼓の響きはその場を払い清め、神聖なおもむきを演出する効果があり、りんとした空気が瞬時に舞台を包み込みます。

特牛節くてぃぶし(こてい節)」の”常盤なる松のとぅちわなるまつぃぬ”の歌い出しで、手に持つ金銀の扇を広げ、幸せが末広がりに続くようにと願いを込めて踊ります。

何時も春来りばいつぃんはるくりば”の一節より扇を持ちかえ、若衆わかしゅのもつ潔白けっぱくさを表現しながら扇を巧みにあつかい、将来に向けての希望や大成を鮮やかに描いていきます。

 

緋色のカラー画像

緋色のカラーイメージ

流派によっては、演目構成や所作が異なる場合があります。

 

補足

 

継承されている若衆踊りわかしゅうどぅい

現在まで継承されている琉球古典舞踊の若衆踊りは、「若衆特牛節わかしゅくてぃぶし」をはじめ「若衆麾わかしゅぜい」、「若衆揚口節わかしゅあぎくどぅち」、「四季口節しちくどぅち」のわずかほどですが、琉球王朝時代の文献「踊番組(※2)」によると、若衆踊りわかしゅうどぅいが十四ほど記録されており、昔は他にも多くの演目が存在していました。

 

踊番組(※2)

慶応2(1866)年におこなわれた寅年御冠船の演目を記録した文献。

 

編集後記

 

節目

人は人生の途中、いくつもの節目にぶつかります。

松は節から新しい芽が生まれ、年輪を重ねるごとに一段ずつ成長するように、人も実社会の経験を積む中で、それを咀嚼そしゃくし、一段ずつ乗り越えて成長していくのでしょう。

古くから伝承されてきた琉球古典舞踊の教えには、己の性質を練り、正しいはかりごとをするための問いかけが残されています。

 


 

参考文献(本)のイメージ画像
参考文献:一覧

書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において、参考にした全ての文献をご紹介します。     1.『定本 琉球国由来記』 著者:外間 守善、波 ...

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マブイ

ニライカナイから遊びにやってきた精霊。
伝統芸能の継承と発展を見守りつづけています。

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