工工四
歌詞
柳は緑 花は紅
人はただ情 梅は匂
訳
柳は緑が映えて、花は紅が美しい。
人にとって大切なのは情の心であり、梅は匂いによって尊ばれる。
情
- 他人をいたわる心
- 思いやり
- おもむき
- あじわい
解説
「柳節」は人間のあるべき姿を自然の摂理に準え、万物はそれぞれに与えられた役割があることを説いた教訓歌です。
古くから邪気払い、魔除けの曲として扱われ、新しくお墓を建てたときに歌う習わしがあったことから別名「祈願節」(※補足参照)と呼ばれています。
本曲の結びの囃子は演奏する場(座歌、舞踊)によって詞が変わります。(※工工四参照)
また、座歌では「柳節」、「天川節」、「ちるれん節」の三曲を一組(一鎖)にして演奏されることがあります。
「柳節」は最古の琉歌集である『琉歌百控』(※1)に収録されており、出自には三線音楽の始祖として名高い赤犬子の名前が記されています。
略歴
■赤犬子(15世紀頃)
※古謡や琉歌に名前が残されているが実在について記録された文献はなく、伝説上の人物として語られている。
三線音楽の始祖とされ、尚真王の時代(在位:1477年~1526年)に琉球王朝の三線弾き(音楽家)の役職にあったとされる。
赤犬子が晩年を過ごした読谷村楚辺に功績を讃えた赤犬子宮が建てられ、毎年旧暦の9月に例祭がおこなわれている。
『琉歌百控』(※1)
上編「乾柔節流」、中編「独節流」、下編「覧節流」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂された最も古い琉歌集です。
補足
逸話
「柳節」は邪気払い、魔除けの曲として歌われてきた逸話が残されています。
以下、《『ふるさとの歌』著:与那覇 政牛》を参考に記しています。
歌の練習をおこなうために人里離れた場所で夢中になって歌っていたが、ふと気付いた時には既に草木も眠る真夜中も後の祭り、ここは有名な幽霊とハブが出る名所。
今更帰るに帰れず途方に暮れていたところ、ふと「柳節」が悪霊退散のお経であることを思い出し、夜が明けるまで脂汗流しながら歌い続けてその場を凌いだとのことである。
中昔節
「柳節」は古典音楽の中昔節(※1)の分類に属します。
中昔節(※1)
古典舞踊
古典舞踊のカテゴリーでは「柳節」が舞踊曲として演奏される「柳」について解説しています。
「柳」 - 古典舞踊/女踊り
中城はんた前節:歌詞 飛び立ちゅる蝶とぅびたちゅるはびる 先づよ待て連れらまづぃゆまてぃつぃりら 花のもと吾身やはなぬむとぅわんや 知らぬあものしらんあむぬ 訳 飛び立とう ...
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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