古典音楽

「天川節」- 古典音楽

工工四

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歌詞

 

天川の池にあまかわぬいちに 遊ぶおしどりのあすぃぶうしどぅいぬ

思羽の契りうむいばぬちぢり よそや知らぬゆすやしらん

 

天川の池にいる仲睦なかむつまじいおしどりのように、

わたしたちが深く思いあい、ちぎりを交わしたことをまだ誰も知りません。

おしどりうしどぅゐ

  • カモ科オシドリ属の鳥。季節によって移動する漂鳥ひょうちょうで渓流や湖沼などに生息する。おすは繁殖期になるとめすきつけるため、羽をカラフルな色合いに変化させることが特徴的である。古くより、仲睦まじい夫婦のことをおしどり夫婦と呼んでいる。

 

池で遊ぶオシドリ

池で遊ぶオシドリ

 

解説

天川節あまかーぶし」は深い情愛じょうあいで結ばれた男女の仲を”天川の池”で仲睦なかむつまじく泳いでいるオシドリのつがいに映し重ねてみ込んだ歌曲です。

”天川の池”は嘉手納町かでなちょうに流れる比謝川ひじゃがわの下流付近に位置し、国道58号線と比謝川ひじゃがわが交差する辺りには「天川の池の碑」が建てられています。

大正時代の初め頃までは、この場所にオシドリの群れが漂着ひょうちゃくしていたそうです。

歌碑に設けられている解説によると、「天川節あまかーぶし」は三線音楽の始祖とされる赤犬子あかいんこんだものであると記されています。

柳節やなぢぶし」、「天川節あまかーぶし」、「ちるれん節ちるりんぶし」の三曲を一組(一鎖ちゅくさい)にして演奏されることがあります。

 

略歴

赤犬子あかいんこ(15世紀頃)
※古謡や琉歌に名前が残されているが実在について記録された文献はなく、伝説上の人物として語られている。
三線音楽の始祖とされ、尚真王の時代(在位:1477年~1526年)に琉球王朝の三線弾き(音楽家)の役職にあったとされる。
赤犬子あかいんこが晩年を過ごした読谷村楚辺よみたんそんそべに功績を讃えた赤犬子宮あかぬくー
が建てられ、毎年旧暦の9月に例祭がおこなわれている。

 

天川の池の碑

天川の池の碑 - 提供:歌碑を訪ねて西東

 

補足

 

逸話

オシドリの深い情愛じょうあいを物語る一つの逸話いつわが残されています。

以下、《『ふるさとの歌』著:与那覇 政牛》を参考に記します。

ある日、一人の狩人が池で仲好なかよく遊んでいるオシドリのつがいを発見してそのめすを撃った。

おすはびっくりしてその場から飛び立つと思ったが、悲しそうな表情をしてめすのそばを離れようとしなかった。

程なくして、おすめすを口に喰えて遥か彼方へ飛び去っていったそうだ。

この一連のオシドリの深い情愛じょうあいを見た狩人は心で深く詫びたとのことである。

 

中昔節

天川節あまかーぶし」は古典音楽の中昔節なかんかしぶし(※1)の分類に属します。

 

中昔節なかんかしぶし(※1)

古典音楽の中でも古くから存在し、演奏時間、演奏技術ともに大曲である楽曲を大節うふぶしと呼び、創作された年代や曲想により、昔節んかしぶし大昔節うふんかしぶし中昔節なかんかしぶしに分類されます。

 

古典舞踊

古典舞踊のカテゴリーでは「天川節あまかーぶし」が舞踊曲として演奏される「天川あまかー」について解説しています。

 

琉球古典舞踊 女踊り「天川」のイラスト
「天川」 - 古典舞踊/女踊り

天川節:歌詞   天川の池にあまかわぬいちに 遊ぶおしどりのあすぃぶうしどぅいぬ 思羽の契りうむいばぬちぢり よそや知らぬゆすやしらん   訳 天川の池にいる仲睦なかむつまじいおし ...

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参考文献(沖縄の本)のイメージ画像
参考文献一覧

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