古典音楽

「長伊平屋節」- 古典音楽

工工四

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歌詞

 

とれの伊平屋岳とぅりぬいひゃだきや うきやがてど見ゆるうちゃがてぃどぅみゆる

遊でうきやがゆるあすぃでぃうちゃがゆる 我玉黄金わたまくがに

 

おだやかな波のときは伊平屋いへやに連なる山々は浮きあがって綺麗に見える。

(同じように)わが子の踊りもひときわ華やかに見える。

とれ

  • なぎ = 風がやんでおだやかな波のこと

我玉黄金わたまくがに

  • わが愛しの子

伊平屋岳いひゃだき

  • 辺戸岬より北西に約40km、沖縄の最北端に浮かぶ島々を総称して伊平屋の七離れいへやのしちばなれと呼んでいます。
  • 1.  伊平屋島いへやじま、2. 野甫島のほじま、3. 伊是名島いぜなじま、4. 具志川島ぐしかわじま、5. 屋那覇島やなはじま、6. 降神島うるがみじま、7. 屋ノ下島やのしたじま屋ノ下島やのしたじまは埋め立てにより伊是名島いぜなじまと陸続きになりました)。主島の伊平屋島いへやじまは起伏に富んだ地形で、最も高い賀陽山がようざん(294メートル)をはじめ200メートル級の山々が連なりをみせます。伊平屋岳いひゃだきという地名が見つからず、仮説になりますが本歌ではこれらの山々を総称して伊平屋岳いひゃだきと呼んでいたと考えます。

 

伊是名島から伊平屋島を望む

伊是名島から伊平屋島を望む

 

解説

長伊平屋節ながいひゃぶし」は伊平屋いへやに連なる豊かな山々の景観に我が子の成長を映し重ねてまれた歌曲です。

本曲は伊是名島いぜなじまが発祥の地で島尻郡伊是名村伊是名しまじりぐんいぜなそんいぜなのふれあい民俗館前には歌碑が建てられています。

伊是名島いぜなじまは1939年まで伊平屋間切いへやまぢり(地方行政区)に属しており、この地区は初代琉球国王の尚巴志王しょうはしおう、第二王統の尚円王しょうえんおうのゆかりの地でもあります。

代々、継承されてきた国王の頌歌しょうか悠然ゆうぜんとした曲想のなかに長い歴史のロマンを感じさせてくれます。

 

長伊平屋節の歌碑

長伊平屋節の歌碑 - 提供:歌碑を訪ねて西東

 

補足

 

伊平屋いへやの荒波

伊平屋伊是名諸島いへやいぜなしょとうの周辺海域は荒波が立つ難所として知られています。

古典舞踊の「上り口説ぬぶいくどぅち」、「下り口説くだいくどぅち」では、航海の旅路を描写した一節に ”伊平屋渡り立つ波いひゃどぅたつなみ 押し添へてうしすいてぃ”(訳 : 伊平屋いへやの荒波が船を押し添えるようにして)とうたわれています。

 

御前風五節ぐじんふういちぶし

長伊平屋節ながいひゃぶし」は宮廷の祝賀行事の座開きにおいて、琉球国王の御前で演奏された歌曲で本曲は第三番目に演奏されます。

かぎやで風節かじゃでぃふうぶし」、「恩納節うんなぶし」、「中城はんた前節なかぐすぃくはんためーぶし」、「特牛節くてぃぶし(こてい節)」、の五曲を総称して”御前風五節ぐじんふういちぶしと呼んでいます。

 

中昔節

長伊平屋節ながいひゃぶし」は古典音楽の中昔節なかんかしぶし(※1)の分類に属します。

 

中昔節なかんかしぶし(※1)

古典音楽の中でも古くから存在し、演奏時間、演奏技術ともに大曲である楽曲を大節うふぶしと呼び、創作された年代や曲想により、昔節んかしぶし大昔節うふんかしぶし中昔節なかんかしぶしに分類されます。

 


 

参考文献(沖縄の本)のイメージ画像
参考文献一覧

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