工工四

【工工四について】
歌詞
笠に音たてて 降たる夏雨も
今やうちはれて 太陽ど照ゆる
訳
笠に音を立てて降っていた夏の雨も、
今は晴れ上がり太陽が照り輝いている。
夏雨
- 夏の雨
- カタブイ = 局地的な豪雨
解説
「黒島節」は通り雨が過ぎ去ったあと、照り輝く太陽の晴れ上がった情景に泰平の世を寿いで詠まれた歌曲です。
節名から、八重山諸島の黒島が起源とされ、現地に伝わる民謡から派生したと伝えられていますが、具体的な成立過程や歌詞の変遷は不明瞭な点が多く、歴史的な記録が限定的です。
また、八重山研究の父である喜舎場永珣 著の「八重山民謡誌」(1967年)には、「黒島節」の解説が記載されており、見出しの項目に八重山民謡の「マンガニスッチャ節」が付記されています。ただし、二つの楽曲の旋律からは明確な派生関係を確認することはできません。
補足
舞踊演目
「黒島節」は「そんばれ節」、「浮島節」の組み合わせで演奏されることがあり、子孫繁栄、長寿を寿ぐ祝儀舞踊「松竹梅(鶴亀)」では鶴と亀の舞いの演奏曲として構成されています。
黒島節(舞踊「松竹梅」より)
千歳経る松の みどり葉の下に
亀が唄すれば 鶴は舞い方
訳
千年を経た松の緑葉の下で
亀が唄えば鶴は舞う
※流派によっては、曲目や構成が異なる場合があります。
黒島節(マンガニスッチャ節)
1.
宮里村 オウリテ
西表クマチユ
欲シヤンドゥ
2.
仲本村オウリテ
本原ンガイユ
欲シヤンドゥ
3.
東筋村オウリテ
高嶺ブナリユ
欲シヤンドゥ
4.
伊久村 オウリテ
屋良部マントゥユ
欲シヤンドゥ
5.
保里村オウリテ
前盛ヤマリユ
欲ふシヤン ドゥ
6.
保慶村オウリテ
赤名クズラユ
欲シヤンドゥ
訳
1.
宮里村に御越しの御役人が
西表家のクマチ女という評判娘を
賄女にのぞんでいた
2.
仲本村に御出の御役人は
本原家の器量の良いンガイ女を
賄女にのぞんでいた
3.
東筋村に御越しの御役人は
高嶺家の勝れたブナリ女を
賄女にのぞんでいた
4.
伊久村に御越しの御役人は
屋良部家のマントウ女を
賄女にのぞんでいた
5.
保里村に御越しの御役人は
前盛家のヤマリ女を
撒女にのぞんでいた
6.
保慶村に御越しの御役人は
赤名家のクズラ女を
賄女にのぞんでいた
引用:喜舎場永珣 著 「八重山民謡誌」(1967年)
追記
「マンガニスッチャ節」の由来は、「マンガニ」 = 真金(本物の金)、「スッチャ」 = 羨ましい(有難い)。すなわち、"本当に有難い"を意味しています。「マンガニスッチャ節」はお役人と賄女との関係性を詠み込んだ歌曲です。
当時はお役人の賄女として御奉公するのが女性一般の羨望の的であり、封建制の権威が示されている社会世相でもありました。
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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