工工四
歌詞
かりよしのあそび うちはれてからや
夜の明けててだの あがるまでも
訳
おめでたい宴に身も心も開放されて、
夜が明けて太陽がのぼるまで(楽しみましょう)。
嘉利吉
- おめでたいこと
- 縁起がよいこと
遊び
- 集い
- 宴
- 催し事
うちはれて
- 身も心も開放して
- 気分が晴れて
※祭祀行事の「うちはれの遊び」を指しているとの説もある。
「うちはれの遊び」 = 身に着けている(覆いかぶさった)着物(不浄なもの)を取り、生まれたままの姿で場を清め祈願する神事。 - 「ごえん節」参照
解説
「与那原節」はおめでたい宴の場に興じて気持ち晴れやかな心の内を詠み込んだ歌曲です。
一説によると、村集落の繁栄を祈願する祭祀行事シヌグ(※1)でおこなわれる神事を詠ったものと云われています。
また、本曲は節名の通り与那原町が発祥の地で、島尻郡与那原町与那原の親川広場には古くよりこの地に伝わる臼太鼓(※2)の古謡「与那原節」の歌碑が建てられています。
シヌグ(※1)
災害や病疫を祓い鎮め、村集落の豊穣や繁栄を祈願する祭事です。
古くより沖縄各地で伝承され、さまざまな形態の神事がおこなわれます。
シヌグの語源については「災いを凌ぐ」に由来していると云われています。(諸説あり)
臼太鼓(※2)
村集落の豊穣や繁栄を祈願して納める奉納舞踊。
婦人たちで円陣をつくり直径30cmほどの小鼓にあわせて歌いながら踊ります。
年長者の神人が先頭で音頭をとり、村集落の女性たちが年齢順につづきます。
補足
与那原親川
「与那原節」の歌碑が建てられている親川広場には、かつて霊泉が湧き出たとする井泉「与那原親川」を祀った拝所があり、琉球王朝時代には国の泰平を祈願するため国王自らが巡礼した聖地であるとされています。
現地の案内板によると、沖縄の地が誕生した遥か昔、地上に舞い降りた天女が自らの子を出産するため、この地に湧き出る水を汲んで産場としたと書かれています。
また、歌碑に刻まれている琉歌(下記参照)は、この神話を準えて創作されたものであると考えられます。
与那原節(歌碑)
与那原の親川に あまくらかゐちやうん
阿まくらやあらぬ 思姉おすし
訳
与那原の親川に天から降りてきた雀が止まっている
(いや、あれは)雀ではなく、姉(妹)の霊神(をなり神)である。
くら
- 雀
思姉
- 思姉(思妹姉ともいう) =兄弟を 思"うおなり(姉妹)。
- おなり神 = 一家の姉妹が霊力により、兄弟の旅の安全を守護したとする信仰。
おすし
- セジ = 霊力(”お”は敬愛を意味する接頭語)
古典舞踊
古典舞踊のカテゴリーでは「与那原節」が舞踊曲として演奏される「前の浜」について解説しています。
「前の浜」 - 古典舞踊/二才踊り
前之浜節:歌詞 ”エイエイえいえい” 前の浜にめぬはまに 前の浜にめぬはまに ちり飛びゆるちりとぅびゅる ”サさ” 浜千鳥はまちどぅり ”エイサえいさ” 友呼ぶ声はとぅむゆぶくいわ ちり ...
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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