踊りこはでさ節:歌詞
打ち鳴らし鳴らし 四つ竹は鳴らち
今日や御座出ぢて 遊ぶ嬉しや
訳
打ち鳴らし鳴らして、四つ竹を鳴らし
今日は晴れの舞台に出て踊ることのなんと嬉しいことよ。
四つ竹
約10センチに切った竹材に朱色を塗り、飾り紐で二つの竹片をつないだ小道具(伴奏楽器)。
”カチカチ”と二つの竹を打ち合わせて演奏し、両手あわせて四枚の竹片を使用していることからその名がつきました。
また、1634年~1850年の間に18回おこなわれた江戸上りの資料には、「相思竹」と称した「四つ竹」の記録が残されています。
「四つ竹」:演目解説
あらまし
四つ竹の清らかに澄んだ響きにあわせ、華やかな衣装と大輪の花笠をかぶって演じられる祝儀舞踊です。
この演目は、一人踊りから大人数の群舞によるさまざまな人数構成で演じられ、琉球王国時代の風雅な宮廷を喚び起こすような美しい世界のひろがりをみせてくれます。
みどころ
演目は「踊りこはでさ節」の一曲に振り付けられ、晴れやかな舞台で踊ることの喜びを、あざやかな彩りをもって表現します。
前奏より下手奥から上手奥へ歩み、中央で基本立ちしてから舞台手前へ進み、優雅に華やかさを展開していきます。
両手にもつ四つ竹は、歩行と一致させながら2拍に一回の間隔で終始同じ調子で打ちつづけ、舞台会場全体を心地よく清らかな余韻で包み込み、《戴み手※1》、《抱き手※2》などの手の振りに無上の喜びをあらわします。
群舞で踊ることにより一段と華やかさが増し、時代を超えて琉球王朝時代の宮廷の優雅さを堪能できる演目です。
「四つ竹」の型
明治の頃、玉城盛重師により、基本の型が振り付けられました。
流派によって、要所に工夫をこらした構成で演じられます。
《戴み手※1》
両手を右上にあげ、左の方へまわしながら手首をこねる所作。
神から幸せを戴いたことを表現します。
《抱き手※3》
両手で赤子を抱いているような形をとる所作。
※略歴(順不同)
■玉城盛重(1868-1945)
沖縄県那覇市首里に生まれる。
近代の沖縄芸能の大化であり、古典正統継承者。
代表する作品に、雑踊りの「谷茶前節」、「浜千鳥」、「貫花」、「むんじゅる」、「花風」、「加那ヨー」、「あやぐ」、「松竹梅」、「金細工」、「川平節」がある。
※流派によっては、演目構成や所作が異なる場合があります。
補足
「拍舞」
古くは、1719年「中秋の宴(※1)」で演じられた「拍舞」が原型であると言われています。
琉球王朝時代の1721年に刊行された見聞書の「中山伝信録」には、以下の一文(意訳)が記録されています。
楽工(地謡)は四つ竹をわたす。
立って舞いながら、曲にあわせて四つ竹を打ちならす。
第四番の「拍舞」である。
中秋の宴(※1)
琉球王国時代に催された冊封使歓待の七宴の一つ。
旧暦の8月15日、首里城北御殿に木造の舞台を設け、演舞や組踊などさまざまな芸能が披露されました。
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参考文献:一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において、参考にした全ての文献をご紹介します。 1.『定本 琉球国由来記』 著者:外間 守善、波 ...
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