工工四

【工工四について】
歌詞
小学から読で 大学中庸
論語孟子に 五経まで読で
訳
小学から読み、大学、中庸、
論語、孟子に五経まで読む。
小学
- 儒教の初学者用の教科書。日常の礼儀作法、格言を集録している。
大学
- 四書の一つ。指導者としての心構えが示されており、自己修養、徳を積むことの大切さを説いている。
中庸
- 四書の一つ。人間の本性を探求し、物事を判断する上で偏りなく調和がとれている状態が望ましいと説いている。
論語
- 四書の一つ。儒教の祖である孔子とその弟子が問答した内容を集録した書。人の生きる道や考え方を説いている。
孟子
- 四書の一つ。孔子の思想を継承した孟子の教えをまとめた書。人間の本性は基本的に善であるとする教え(性善説)を説いている。
五経
- 易経 - 「易」占術の解釈文書
- 書経 - 歴代の名君、賢者の語録集
- 詩経 - 各地の歌謡を集めた詩集
- 礼記 - 古くより伝わる礼式・作法をまとめた書
- 春秋 - 年表や系譜をまとめた歴史記述書
解説
近世の琉球王国時代、国家教育の場においては道徳の理念を提唱する儒学が採用されていました。
儒学とは中国の思想家である孔子の教え(儒教)を体系化した学問で、入門書の「小学」より始まり、基礎となる「四書五経」を中心に学んでいきます。
「タノムゾ節」はこれらの学問を修めるまでの過程を順に詠み込んだ歌曲です。
補足
節名の由来
「タノムゾ節」は八重山諸島の西表島が発祥の地で、祖納湾に浮かぶ小島「まるまぼんさん岩」の景観を詠った八重山古典民謡「まるまぶんさん節」が原歌となります。
「タノムゾ節」の節名は歌の囃子にある”ヒヤマアッタン タヌムジュウ”より命名されました。
一説によると、”ヒヤマアッタン”は気合を入れる時のかけ声で、”タヌム”は木材の薪を意味しており、”ジュウ”は斧で割った時に一発で気持ちよく割れたときの擬音語であるとされています。参考:『西表民謡誌と工工四/石垣 金星』
まるまぶんさん節(八重山古典民謡・囃子入り)
ヒョホー
まるまぶんさん 夕な夕な見りば
風ぬ根を知ち 居ちゅる白鷺
エイヤラヤンザー サエー
エイヤー ハリバサーヌシ
ヒヤマアッタン タヌムジュウ
訳
(舟を漕いで)まるまぼんさん岩を夕暮れ時に眺めていると、
風の吹く方向を知って止まる白鷺よ。
風の根
- 風を生み出す場所。
エイヤラヤンザー
- 白鷺が木の枝に止まろうとバランスをとっている様子。
サエー エイヤー
- 舟を漕ぐときのかけ声。
ハリバサーヌシ
- ハリバ = 走れば。サーヌシ = 嬉しい、素晴らしい。
- (舟も)走り嬉しいことよ。
ヒヤマアッタン
- 気合いを入れる時のかけ声。
タヌムジュウ
- タヌム = 薪、”ジュウ”は斧で割った時に一発で気持ちよく割れたときの擬音語。
- 気合いをいれて(舟を漕げば)
-
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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