工工四
歌詞
御船の高艫に 白鳥がゐちやうん
白鳥やあらぬ 思姉おすじ
訳
舟の船尾(上部)に白い鳥が止まっている。
(いや、あれは)白い鳥ではなく、姉(妹)の霊神(をなり神)である。
高艫
- 舟の船尾部
- 外艫
思姉
- 思姉(思妹姉ともいう) =兄弟を 思"うおなり(姉妹)。
- おなり神 = 一家の姉妹が霊力により、兄弟の旅の安全を守護したとする信仰。
おすじ
- セジ = 霊力(”お”は敬愛を意味する接頭語)
解説
「白鳥節」は航海の安全を祈る「おなり神信仰」にまつわる民間伝承を詠み込んだ歌曲です。
琉球王国時代、海に出ることは常に危険と隣り合わせで暴風雨や荒波、時に海賊の襲撃に遇うなど命がけの航海になりました。
古来より沖縄の女性は神に仕える霊力が宿るとされ、一家の姉妹は航海の安全を祈願し、兄弟を守護する役割を果たしていたそうです。
また、白い鳥は「おなり神」の化身とされ、航海中に船の帆柱や船尾に止まることは縁起の良いことであるとされていました。
補足
逸話
旅の安全を祈願して織られた手巾を思姉妹手巾と呼び、かつて沖縄の女性は糸を紡いで仕立てるまでの工程を全て手作業でおこなっていました。
一本一本、祈りを込めて織った手巾には魂が宿り、旅の災難から兄弟を守護したそうです。また、姉妹の髪の毛を入れた袋をお守り代わりとして託す慣わしもあったそうです。
結びの曲
演奏会などでは「ニ揚独唱曲」の哀調ある曲想におさまりをつけるため、祝儀的要素を含んだ「白鳥節」、「立雲節」、「ヨシヤイナウ節」、「古見之浦節」の内いずれか一曲を斉唱して閉会する習わしがあります。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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