工工四

【工工四について】
歌詞
おしつれて互に 花のもとしので
袖に匂うつち 遊ぶうれしや
訳
連れ立って花のもとへ忍び、
袖に香りを移して遊ぶことは快いものです。
古見之浦
- 西表島の古見集落につながる湾(浜辺)
おしつれて
- 連れ立って
しので
- 忍んで
- ひそかに
- 人目につかぬよう
匂
- 匂い
- 香り
うれしや
- 嬉しい
- 楽しい
- 快い
解説
「古見之浦節」は慕い合う二人の束の間の逢瀬を儚い花の香りに託して詠まれた歌曲です。
本曲は西表島が発祥の地で、八重山郡竹富町古見にある後良川展望台には原歌となる歌碑が建てられています。
古見地区では「古見之浦節」が打組踊り(※1)として独立した形で演じられており、一組は若衆姿で扇を持ち、もう一組は乙女姿で梅の花または桜の花を手に持って踊ります。参考:『南島採訪記/本田安次』
このことから、本曲の歌詞に出てくる花の種類は芳香を漂わせる梅の花ではないかと考えられます。
打組踊り(※1)
対照的な関係にある者(男女、美女醜女など)が組み合って踊る形式の演目。
補足
創作背景
『八重山民謡誌/喜舎場永珣』によると、与那国を管轄する琉球王府の役人であった大宜見 長稔(1682 - 1715年)が作詞作曲を手掛けたと記してあり、元となった原歌の八重山民謡は島の北東部に位置する古見地区の景観に自身の恋情を映し重ねて詠まれています。
当時、大宜見 長稔を乗せた船が悪天候に見舞われ、古見の浦に一時避難した際、現地の人々の手厚いサポートを受ける中で一人の女性に惹かれ恋に落ちますが、やがて出航の準備が整い、惜別の涙と共に創作された背景があると云われています。
古見之浦節(八重山古典民謡)
桜花 ぶなれしま
梅の花 女童
何時ん 花ゆさかい
訳
桜花の如く美しいぶなれしま(女性の名前)よ
梅の花の如くかぐわしい乙女よ
いつも花の盛りのように美しい
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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