工工四
歌詞
白瀬走川に 流れゆる桜
すくて思里に ぬきやりはけら
訳
白瀬走川に流れる桜の花をすくい糸に貫き列ね、
愛しい人の首におかけしましょう。
白瀬走川
- 沖縄本島の那覇から西へ約100kmの場所にある久米島。宇江城岳(標高309m)から兼城湾に流れる白瀬川のこと。
里
- 女性が思いを寄せる男性に対して使う言葉。男性が女性を呼ぶときは「無蔵」と呼ぶ。
解説
「白瀬走川節」は久米島に流れる白瀬川を舞台にした歌曲で、島尻郡久米島町嘉手苅にある橋の袂には本曲の歌碑が建てられています。
愛しい人を一途に思う女性の恋心を、糸に通した花のゆかしさに映し重ねて詠み込んでいます。
補足
桜の種類
久米島では、沖縄で代表的な「寒緋桜」の他に「幻の桜」と呼ばれる「クメノサクラ」が生育されています。
ピンク色の花をつける「寒緋桜」に対して、「クメノサクラ」は白い花を咲かせることが特徴的です。
また、花が散る時に「寒緋桜」は花冠(花全部)ごと落ちますが、「クメノサクラ」は日本本土で咲く「ソメイヨシノ」のように一輪ずつ花びらが散っていきます。
一時は気候の問題により絶滅寸前になったことから「幻の桜」と呼ばれています。
現在、白瀬川の両岸には桜の木が一本も生えていないため「ツツジ」を「桜」に見間違えたのではないかという説もありますが、「白瀬走川節」が創作された時代には「クメノサクラ」が咲いていたのかもしれません。
古典舞踊
古典舞踊のカテゴリーでは、「白瀬走川節」が舞踊曲として演奏される「本貫花」の演目について解説しています。
「本貫花」 - 古典舞踊/女踊り
金武節:歌詞 春の山川にはるぬやまかわに 散り浮ぶ桜ちりうかぶさくら すくい集めてどすぃくいあつぃみてぃどぅ 里や待ちゆるさとぅやまちゅる 訳 春の山川に散り浮かぶ桜の花を ...
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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