工工四
歌詞
あねが守りほどうはさばやう すみさのもすぐれれやう
八尋屋の嫁なさや 十尋屋の主なれやう
訳
姉さんがおもりして大事に育てたなら学問に優れた子になるんだよ。
(女の子は)大きな家のお嫁になりなさいね (男の子は)大きな家の主になりなさいね。
すみ
- 学問(昔は墨で書いていたことに由来)
八尋屋、十尋屋
- 大きな家屋を表現する時に使われた用語。
※尋 = 両手を水平に広げた長さを基準として設けた単位。一尋(約1.818m)
解説
「子守節」はその名の通り、子守りを任された娘が将来の子供たちの大成を願って詠まれた歌曲です。
かつて沖縄では日中仕事で忙しい家庭の母親に代わり、親戚や同じ地域に住む年頃の娘に子守りをお願いする風習が形成されていました。
子守りを任された娘をムイアンガ(守姉)と呼び、我が子を他人に任せることは育成にも良いとされ、また地域のつながりを深める役割も果たしていたそうです。
補足
楽曲の変遷
本曲は子守唄として歌い継がれている八重山民謡「あがろーざ(東里)節」から派生した歌曲と云われています。
また、歌詞にある”八尋”と”十尋”の見慣れない語句は、宮古島に伝わる子守唄「東里真中」の歌詞にも登場することから、この二つの楽曲をベースにして創作されたのではないかと考察します。
最古の三線楽譜である『屋嘉比工工四』(※1)に「子守節」の節名が収録されていますが中身は異なっており、「遊子持節」の冒頭部の楽譜と一部歌詞のみが記されている状態です。
屋嘉比工工四(※1)
琉球音楽家の屋嘉比朝寄(1716-1775)によって編み出された記譜法により創案された現存する最も古い三線楽譜です。(117曲編纂)
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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