工工四
歌詞
天の群星や 皆が上ど照ゆる
黄金三つ星や 我上ど照ゆる
訳
天空の群星は皆の上を照らし、
黄金三つ星は私の上を照らしている。
群星
- 空一面に広がる無数の星
黄金三つ星
- オリオン座の中心で輝く三つの星
解説
「亀甲節」は夜空に散らばる群星の中で一際目を引く黄金三つ星の輝きにあやかり、末永い一生を祈願して詠まれた歌曲です。
黄金三つ星とはオリオン座の中心に一列に並んだ三つの星のこと指します。※下記の画像参照
かつて天空には人間を守護する星々が存在すると云われており、各自に司る星が消えてなくなるとその人の一生も終わりを告げるという言い伝えが残されていました。参考:『標音評釈・琉歌全集/武蔵野書院版』
補足
楽曲の変遷
いつ頃から「亀甲節」と呼ばれるようになったのか定かではありませんが、永遠の輝きを放つ黄金三つ星と長寿吉兆の象徴である亀を結び付けて名付けられたのではないかと考えます。
最古の三線楽譜である『屋嘉比工工四』(※1)に収められている「其萬歳節」の楽譜は、現今の「亀甲節」とほぼ同じ譜であることが確認できます。
また、最古の琉歌集である『琉歌百控』(※2)には「其万歳節(其満歳節)」が収められており、歌詞は下句の一部を除いて「亀甲節」と同じ琉歌で詠まれています。
屋嘉比工工四(※1)
琉球音楽家の屋嘉比朝寄(1716-1775)によって編み出された記譜法により創案された現存する最も古い三線楽譜です。(117曲編纂)
『琉歌百控』(※2)
上編「乾柔節流」、中編「独節流」、下編「覧節流」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂された最も古い琉歌集です。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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