古典音楽

「ハイヨヤエ節」- 古典音楽

工工四

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歌詞

1.

国頭さばくりくんぢゃんさばくゐ 二才たもいまうちやめにせたんいもちゃみ

2.

首里天きやなしのしゅゐてぃんぢゃなしぬ 御材木だやべるうぜむくだやびる

3.

長尾山かし木やなぐやまかしぎや 御嶽の前からうたきぬめーから

4.

御万人まぎりやうまんちゅまじりや 皆肝そろとてんなちむするとぅてぃ

5.

世界報の続きやゆがふぬつぃづぃちや 二蚊帳御代さめふたかちゃみゆさみ

 

1.

国頭くにがみ捌理さばくい(役人)、若者たちもやって来た

2.

首里の王様の御用達ごようたしの材木である

3.

長尾山の樫木かしき御嶽うたき(聖域)の前から

4.

万人(誰もが)気持ちをそろえて

5.

泰平たいへいな世の続きは二蚊帳が治める(※二蚊帳に関する文献が見つからないので解釈を省略)

二才にせ

  • 若者

首里天きやなししゅゐてぃんぢゃなし

  • 琉球王朝時代の国王の敬称
  • 首里天 = 首里城の国王
  • きやなし(加那志じゃなし) = ~様といった敬称に用いる

長尾山なぐやま

  • 国頭郡国頭村くにがみぐんくにがみそんに位置する与那覇岳よなはだけ中腹にある山。

樫木かしき

  • ブナ科の常緑高木の総称。クヌギ(別称)とも呼び、かたい材質で耐朽性が強いことから建築資材や船舶材に使用されてきました。

御嶽うたき

  • 琉球信仰における神に祈りを捧げる聖域

御万人うまんちゅ

  • すべての人々
  • 民衆
  • 大衆

ちむ

  • 心情しんじょう
  • 気持ち
  • ハート
  • 肝臓かんぞう

世果報ゆがふ

  • 弥勒みるく様がもたらす穏やかで平和な世の中
  • 幸福で実り豊かな世の中
  • 泰平な世
  • 豊年

御代みゆ

  • 治世ちせい(世を治めること、統治)
  • よく治まった世

 

解説

ハイヨヤエ節はいゆえぶし」は木材のり出しや運搬をおこなうときに音頭を取りながら歌われる労働歌です。

現在の国頭郡国頭村奥間くにがみぐんくにがみそんおくまが発祥の地で、本曲は別名「国頭さばくいくんぢゃんさばくい」と呼ばれており、道の駅(ゆいゆい国頭)の北側には記念碑が建てられています。

一般的な琉歌とは異なり、八・八調の音数律の間に囃子の掛け合いを入れる木遣り歌きやりうたと呼ばれる形式で構成されています。

ハイヨヤエ節はいゆえぶし」の節名は囃子詞はやしことばの「ハイユエー」から命名されました。

 

国頭さばくいの歌碑

国頭さばくいの歌碑 - 提供:歌碑を訪ねて西東

 

補足

 

節名の由来

琉球王国時代、首里城の建築資材となる木材を与那覇岳よなはだけの中腹に位置する長尾山ながおやまからり出し、山中を流れる比地川ひじがわ奥間川おくまがわを下り、鏡地原かかんじばるの浜から海を渡って首里へ献上していました。

重い材木を運搬する作業は危険を伴うため、村人は大勢で労働歌を歌って気持ちを高めました。

当時、材木の検査や運搬の指揮には「捌理さばくい」と呼ばれる地方行政の役人が担当しており、首里城の北殿ほくでんが落成した際、本曲を歌いながら踊った演舞が評判を博し、島各地に広まったと伝えられています。

 

与那覇岳(比地川)

与那覇岳(比地川)

 


 

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