工工四
歌詞
源河走川や 潮か湯か水か
源河めやらべたが おすでどころ
訳
源河川は潮であるのか、湯であるのか、水であるのか、
源河村の娘たちが水浴びをする場所である。
源河走川
- 現在の名護市源河に流れる河川(全長約12.8km)
- ”走” = 川が流れる様子をあらわしている。
※「川」、「川」と「井戸」の発音が似ているので区別するために”走”をつけてたとされる。《参考:『嗣周・歌まくら』那覇出版社》
源河
- 羽地間切源河村(現・名護市源河)
おすで
- 孵化するという意味を持つ。
- 水浴びをする。
- 身なりを整える(整髪、お化粧)様子をあらわした語句とも考えられる。
解説
「平敷節」は現在の名護市北部に流れる源河川を舞台とする歌曲で、中流付近(名護市源河)の農道には本曲の歌碑が建てられています。
歌碑の石板には「この歌は源河川の清い流れと源河美童達を賛美した歌」と紹介されており、「平敷節」と共に「源河節」の節名が刻まれています。
最古の琉歌集である『琉歌百控』(※1)には「源河節」と記されており、いつの時代から節名が「平敷節」と呼ばれるようになったかは定かでありません。
また、本曲の歌詞(下句)には”湯か”と記されていますが、一説によると”良か”が適切であり、本来は「良い水」の意味を持つという解釈もあるようです。
『琉歌百控』(※1)
上編「乾柔節流」、中編「独節流」、下編「覧節流」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂された最も古い琉歌集です。
補足
源河川の生物
源河川は緑豊かなやんばるの自然に囲まれており、濁りが少なく透明度が高いことから、かつては沖縄固有のリュウキュウアユが生息していました。
しかし、河川工事をはじめとする周辺環境の変化により川が汚染されたことで水質に敏感なリュウキュウアユは1970年代に絶滅してしまいました。
その後、リュウキュウアユを復活させるために多くの有志が集まり、奄美大島に残されていた同種を定着させるために現在も活動が続けられています。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
続きを見る