工工四
歌詞
赤さこはでさや 美御殿とたんか
玉黄金無蔵や 我身とたんか
訳
紅葉したクワディーサーは、立派な御殿と向き合っている。
(同じように)愛しい大切な人は私と差し向いあっている。
こはでさ
- モモタマナ(コバテイシ) = シクンシ科に属する樹木。別名クワディーサーと呼ばれている。15m以上に育つ高木で白い花と約3~6cmほどの実をつける。
御殿
- 格式のあるお屋敷
たんか
- 向き合う
- さし向う
玉黄金無蔵
- (玉や黄金のように)大切な人
- 「無蔵」は男性が思いを寄せる女性を呼ぶときの言葉
解説
「赤さこはでさ節」は久米島から首里へ奉公に行った娘の姿に赤く染まったクワディーサーの美しい情景を映し重ねて詠まれた歌曲です。
クワディーサーの葉は秋から冬にかけて赤く染まり、島のあちこちで美しい紅葉をみせてくれます。
やがて葉が落ちて新芽が出始める季節になると緑色のつややかな葉が大きく広がりをみせ、夏場を迎えるころには快適な木陰を提供してくれます。
昔から人の集まる集会所や公園などに植栽されており、本曲の歌碑が建てられている兼城公民館(島尻郡久米島町兼城)の敷地内にも立派に育った大きなクワディーサーの木が生えています。
補足
その他の解釈
「赤さこはでさ節」が収録されている琉歌集や工工四によっては、下句の”玉黄金無蔵や~”が、”玉黄金里や~”と記されています。
「無蔵」は男性が思いを寄せる女性に対して使う言葉で、「里」は女性が思いを寄せる男性に対して使う言葉です。
『標音・評釈琉歌全集/武蔵野書院版』では、「田舎から御殿へ奉公に出た娘が、思いもかけず若殿の寵愛を受けて、若殿とさし向いで楽しく幸福に暮らして喜びの絶頂に達した歌」と紹介されています。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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