工工四
歌詞
1.
げにや都の 春の空
出づる日影も のどかにて
咲くや桜に 梅の花
2.
色と匂に 誘はれて
老も若きも 諸共に
袖を引きつれ 立ち出でて
3.
花のいろいろ 籠に入れ
此処や彼処に 行き巡り
長き春日の 暮るるまで
4.
帰る家路を うち忘れ
花をかざして 舞ひ遊ぶ
春のけしきの 面白や
訳
1.
まことに都の春の空は日影も長閑で、桜や梅の花が咲いている。
2.
色と匂いに誘われて、老いも若きも皆連れだって。
3.
さまざまの花を籠に入れてあちらこちらに巡りましょう。長い春の日が暮れるまで。
4.
家に帰ることも忘れて、花を飾って舞い踊る。春の景色のなんと素晴らしいことか。
げにや
- 実に
- まことに
諸共
- 一緒に
- 皆
面白や
- 趣がある
- 素晴らしい
- 楽しい
解説
「揚口説」は新しい生命の息吹に春の訪れをあらわし、鮮やかに彩る種々の花を愛でて詠まれた歌曲です。
やわらかな日差しに包まれた長閑な春のひと時に心浮き立つ人々の様子を描いています。
口説形式の歌はかつて日本本土より伝わった節まわしで、七句と五句を繰り返すリズミカルな七五調に大和言葉を用いて春の情景を歌っています。
補足
舞踊演目
「揚口説」は島袋光裕が創作した近代の舞踊演目「若衆揚口説」の演奏曲として構成されており、古典舞踊の様式を踏襲した完成度の高い作品となっています。
「若衆揚口説」 - 古典舞踊/若衆踊り
揚口説:歌詞 1. げにや都のぢにやみやくぬ 春の空はるのすら 出づる日影もいんづぃるふぃかぢん のどかにてぬどぅかにてぃ 咲くや桜にさくやさくらに 梅の花うんみぬはな 2. 色と匂ひにいるとぅにをぅ ...
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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