工工四
歌詞
十日越しの夜雨 草葉うるはしゆす
おかけぼさ御代の しるしさらめ
訳
十日越しの夜雨が草葉を潤すのは、
(国王様の)ご治世の現れである。
御代
- ご治世(世を治めること、統治)
- よく治まった世
しるし
- 現われ
- 兆し
解説
かつて琉球王国では日照りや干ばつが深刻になると、国王の指揮のもと国をあげて「雨乞」の儀礼を執りおこなってきた歴史があります。
「ヨシヤイナウ節」はこの儀礼を背景に、実り豊かな世は国王のご高徳の賜物であると国家繁栄に導くご治世を賛えて詠まれた歌曲です。
”十日越しの夜雨”とは10日ごとに降る雨という意味を持ち、畑仕事を休んでいる時間帯、また、太陽の光を遮らない夜間に降る雨は農作物に適した天候であることに因んでいます。
補足
節名の由来
本曲の節名は歌の囃子”ヨシヤイナウ”から命名されたと云われています。
また、最古の琉歌集である『琉歌百控』(※1)には「与舎江納節」の字があてられ、世の泰平を祝した琉歌ニ首が収められています。
結びの曲
演奏会などでは、「ニ揚独唱曲」の哀調ある曲想におさまりをつけるため、祝儀的要素を含んだ「ヨシヤイナウ節」、「立雲節」、「白鳥節」、「古見之浦節」の内いずれか一曲を斉唱して閉会する習わしがあります。
組踊
三千首の琉歌を収めた『標音評釈・琉歌全集/武蔵野書院版』には九首の「ヨシヤイナウ節」が収録されており、おもに世の泰平を寿ぐ祝儀的要素を含んだ琉歌が収められています。
組踊(※1)の演目では、「萬歳敵討」、「伏山敵討」をはじめ、仇討ちを果たして喜びを表現する場面で「ヨシヤイナウ節」が演奏されます。
組踊(※1)
琉球王国時代の1719年に踊奉行(式典の際に舞台を指揮、指導する役職)の任命を受けた玉城朝薫により創始された歌舞劇です。
台詞、舞踊、音楽の三つの要素から構成された古典芸能で、1972年に国の重要無形文化財に指定され、2010年には世界のユネスコ無形文化遺産に登録されました。
略歴
■玉城朝薫(1684年-1734年)
首里儀保村に生まれる。
琉球王国の官僚で冊封式典の踊奉行を務める。国劇である組踊の創始者であり、多くの芸術作品を生み出す。
「二童敵討」、「執心鐘入」、「銘苅子」、「孝行の巻」、「女物狂」を朝薫五番と称す。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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