工工四
歌詞
大田名の嫁や なりぼしゃやあすが
石原あさ道の くみのあぐで
訳
大田名の嫁にはなりたいが、
石混じりの道を歩くことは難儀であります。
大田名
- 伊平屋島の北部に位置する田名集落。国の天然記念物に指定された伊平屋の象徴「念頭平松」を中心に美しい田園地帯が広がる。
伊平屋島
- 沖縄本島の辺戸岬から北西約40kmの海上に位置する島。起伏に富んだ地形で200メートル級の山々が連なりをみせ、山間には田園地帯が広がる。年間を通じて安定した温暖気候で、稲やサトウキビ栽培、モズクの養殖を中心とした産業がおこなわれている。
石原あさ道
- 石混じりの道
- 砂利道
くみ
- 歩く
- 水を汲む - 『標音・評釈琉歌全集/武蔵野書院版』によると、伊平屋島の北部地方では「カ行」を「ハ行」で発音することがあるため、「汲み(クミ)」を「フミ」と発音したのではないかと記載されている。
解説
生まれ育った土地を離れ、環境の変化に戸惑いながらも一人嫁いでゆく女性の心情を詠み込んだ歌曲です。
美しい田園が広がりをみせる田名の地域は、かつて三つの集落から構成されており、のちに統合されてから「大田名」と呼ばれるようになりました。
歌に登場する「あさ道」は、アサ岳(標高:218.1m)の麓を通る石混じりの道のことを指しており、平成21年(2009年)には道路の改良工事がおこなわれ、完成記念として「大田名節」の歌碑が設置されました。
補足
古謡
島尻郡伊平屋村田名にある公民館には「大田名節」の原歌とつながりのある歌碑が建てられており、この古謡は臼太鼓(※1)と呼ばれる祭祀行事で代々歌い継がれてきました。
臼太鼓(※1)
災害や病疫を祓い鎮め、村集落の豊穣や繁栄を祈願する祭事。
円陣をつくって直径30cmほどの小鼓にあわせて歌いながら踊ります。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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