工工四
歌詞
高禰久にのぼて 真南向て見れば
片帆船だいめば 真帆どやゆる
訳
高禰久に登って南の方を見ると、
片帆船と思ったが真帆上げた船であった。
高禰久
- 新城島に設けられた火番盛(烽火台)
片帆
- ※下記、補足参照
真帆
- ※下記、補足参照
解説
「高禰久節」は八重山諸島・新城島の火番盛から見晴らす海上の光景を詠み込んだ歌曲です。
火番盛とは火を焚く丘という意味で、通信手段が限られた琉球王国時代に離島間の急報を知らせるために設けられた烽火台のことを指します。
また、外敵船を監視する役割も果たし、円形状に築かれた石積みの頂上からは遠くの海を一望することができます。
補足
真帆・片帆
多くの船が行き交うさまを表現した「真帆片帆」という四字熟語があります。
一般的な解釈として”真帆”は追い風を受けて帆を一杯に張ることを指し、対して”片帆”は横風を受けて斜めに帆を張ることを意味しています。
ただし、沖縄では二本柱の船が片方の帆を上げた状態のことを片帆と呼び、二本上げた状態を諸船(真帆)と呼んでいたそうです。参考:『標音評釈・琉歌全集/武蔵野書院版』
逸話
かつて新城島の海辺にはジュゴンが多数生息しており、毎年、琉球王府へ献上するために島の漁師が片帆船に乗ってジュゴンを捕獲していた史料がいくつか存在します。
島ではジュゴンのことをザンと呼んでおり、琉球王府の祝宴の際に高級食材として提供されていたそうです。
参考:『八重山の人頭税/大浜信賢』、『魂の民俗学/谷川健一』
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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