工工四
歌詞
暇乞よともて 持つちやる盃や
涙泡盛らち 飲みもならぬ
訳
お別れの挨拶に持った盃は、
涙が溢れて飲むことが出来ない。
暇乞
- お別れの挨拶
- お別れを告げる
解説
「シヤウンガナイ節」(ニ揚調)は旅立ちの別れを詠み込んだもので、一説によると八重山諸島を管轄する琉球王府の役人が任期を終えて首里に戻る際に詠まれた歌曲であると云われています。
節名の由来は”しかたがない”の意である”ションガネエ”に端を発したもので、当時この文句を囃子詞にした歌謡が沖縄全土に伝播し、各島に土着して歌い継がれてきたと云われています。
「シヤウンガナイ節」は別れの切なさや恋の苦しみ、あきらめなどを詠った歌詞が多く、与那国島の「與那國スンカニ」をはじめ、多良間島の「多良間シュンカニ」や沖縄本島の「遊びシヤンガナイ節」など、どれも別離の哀情を詠み込んだ歌曲になっています。
参考:『原日本おきなわ/三隅治雄』
補足
原歌
一説によると、「シヤウンガナイ節」は与那国島が発祥の地と云われており、祖納港に連なるナンタ浜の入り江には原歌である「與那國スンカニ」の歌碑が建てられています。
與那國スンカニ
1.
与那国ぬ情 云言葉どぅ情
命ぬある間や とぅやいしゃびら
2.
波多浜下りてぃ 持ちゃる盃や
目涙泡むらし 飲みぬならぬ
3.
与那国ぬ渡海や 池ぬ水心
心安々とぅ 渡たてぃいもれ
訳
1.
与那国の情は話す言葉が情(そのもの)である。
命のある間はお付き合いしましょう。
2.
波多浜下りて持った盃は、
涙が溢れて飲むことが出来ない。
3.
与那国を渡る海は池のような水心(静かな海)、
心安らかに渡っていらっしゃい。
ポイント
- 思いやり
- 他人をいたわる心
- おもむき
- あじわい
波多浜
- 与那国島の北部に位置する祖納港に連なる浜辺。名前とは違い穏やかな海である。
渡海
- 海を渡ること
- 海の向こうへ渡ること
揚出し
現今の「シヤウンガナイ節」は一般的に歌い出しの音程を揚出し(高く)にして演奏されています。※詳しくはページトップにある『工工四』の2ページ目に記載しています。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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