工工四
歌詞
逢はぬ徒らに 戻る道すがら
恩納岳見れば 白雲のかかる
恋しさやつめて 見欲しやばかり
訳
逢うこともできず空しく戻る道の途中、
恩納岳を見ると白い雲がかかっており、
恋しさが増して一目会いたい思いはつのるばかりです。
恩納岳
- 国頭郡恩納村瀬良垣と国頭郡金武町伊芸に境界をなす標高363メートルの山
つめて
- ますます
- 積もり積もって
解説
「長恩納節」は叶わぬ恋の切なさに寂莫とした女性の胸中を詠み込んだ歌曲です。
愛しい人に会えない鬱々とした心内を白い雲に隠れてしまった恩納岳に映し重ねて描かれています。
一般的に琉歌は上句〔八・八]、下句〔八・六]の計三十音の定律で構成されますが、「長恩納節」は八音を二つ足した長歌形式で詠まれていることがその名に由来します。
補足
原歌
「長恩納節」は古典舞踊「伊野波節」の演奏曲として構成されており、演目後段の「恩納節」の内容に紐づける形で歌われていますが、もともとは以下の歌詞を原歌として詠まれたものであると云われています。
長恩納節
首里みやだいりすまち 戻る道すがら
恩納岳見れば 白雲のかかる
恋しさやつめて 見ぼしやばかり
訳
首里王府の勤務を終えて(故郷へ)帰る道の途中、
恩納岳を見ると白い雲がかかっており、
(故郷、家族への)恋しさが増して、見たい(会いたい)思いはつのるばかりである。
首里みやだいり
- 国王の御所
- 宮内裏 = 国王の私的な居住区(空間)
すまち
- 済まして
- 終えて
古典舞踊
古典舞踊のカテゴリーでは、「長恩納節」が舞踊曲として演奏される「伊野波節」の演目について解説しています。
「伊野波節」 - 古典舞踊/女踊り
伊野波節:歌詞 逢はぬ夜のつらさあわんゆぬつぃらさ よそに思なちやめゆすにうみなちゃみ 恨めても忍ぶうらみてぃんしぬぶ 恋の習ひやくいぬなれや 訳 逢えない夜は辛いこと、あ ...
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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