音楽

「本散山節」- 古典音楽

2021年10月14日

本散山節むとぅさんやまぶし:工工四

 

本散山節の工工四

工工四(簡易版)クリック→PDF(888KB)より印刷・保存

 

歌詞

 

近さたるがけてちかさたるがきてぃ 油断どもするなゆだんどぅんすぃるな

梅の葉や花のうんみぬふぁやはなぬ 匂ひや知らぬにをぃやしらん

 

近いことを当てにして油断をするな。

梅の葉は花のにおいを知ることはない。

たるがけてたるがきてぃ

あてにして。

頼みにして。

 

楽曲の解説

沖縄では例年1月~2月にかけて梅が開花し、豊かな芳香ほうこうがそよ風に漂いますが、梅の花持ちは短く二週間程度で散ってしまいます。

その後、入れ替わるように梅の葉が芽吹めぶきますが、その葉は先程まで咲いていた花の香りを知ることは出来ません。

本散山節むとぅさんやまぶし」は同じように人生におけるご縁もいずれ移り変わるものであることをいましめ、今を大切に生きることをいた教訓歌きょうくんかです。

 

散山さんやま”の由来

本散山節むとぅさんやまぶし」の節名は諸説しょせつがあり、久米島くめじま伊江島いえじまの地名を起源とするものがあります。

また、各地方に伝わる祭祀さいし行事の歌に”さんやま”の語句がみられることから、特定の地形や景観を総称していたことも考えられます。

 

梅の花

梅の花

 

補足

 

久米島に伝わる古謡

久米島に伝わる祭祀さいし行事では、 臼太鼓うすぃでーく(※1)で歌われる古謡の一つとして「島尻散山節しまじりさんやまぶし」が代々継承されてきました。

 

臼太鼓うすぃでーく(※1)

祭祀さいし行事の一つに円陣をつくって直径30cmほどの小鼓にあわせて歌いながら踊る臼太鼓うすでーくと呼ばれる神事があり、歌唱曲の一つとして本曲が継承されてきました。

 

島尻散山節しまじりさんやまぶし

散山の胡弓小さんやまぬくちょうぐゎ あしび胡弓小あしびくちょうぐゎ

西平の胡弓小にひんらぬくちょうぐゎ 踊りの胡弓小うどぅいぬくちょうぐゎ

胡弓の声聞きもくちょうぬくいちちん いじちかん者やいじちかんむぬや

按司が用もたたぬあじがゆんたたん わ身も持たぬわどんむたん

 

散山の胡弓は、座をにぎやかにする胡弓だ。

西平の胡弓は、踊りを引き立てる胡弓だ。

胡弓の音を聞いても勇み立たない者は、

按司あじの御用にも役立たないし、私のことも満足にできないであろう。

胡弓くーちょう

楽器本体を左右に回転させながらげんを弓でって演奏する琉球楽器。

棹と椀型わんがたの胴は黒木やユシギ(古くは椰子やしの実の殻)が用いられ、表面に蛇の皮を張って作られる。

近年までげんの数は三本仕様であったが、演奏音域を広げるために改良され、現在では四本仕様で演奏されることが一般化した。

按司あじ

按司あじは国王の親族に位置する特権階級。

各地域を領地として与えられ自陣じじんの領地の名をとって家名にするならわしである。

 

島尻散山節の歌碑

島尻散山節の歌碑 - 提供:歌碑を訪ねて西東

 

マブイ
標音評釈琉歌全集』に集録されている「本散山節むとぅさんやまぶし」の原歌は伊江島いえじまが発祥となっていますが、「島尻散山節しまじりさんやまぶし」とほぼ同じ歌詞でうたわれていることから、歌の源流は同じであると考えられます。

 


 

参考文献(沖縄の本)のイメージ画像
参考文献一覧

書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において、参考させて頂いたすべての文献をご紹介します。     1.『定本 琉球国由来記』 著者:外間 ...

続きを見る

  • この記事を書いた人

マブイ

ニライカナイから遊びにやってきた豆電球ほどの妖怪です。

好きな食べ物:苔
好きな飲み物:葉先のしずく

-音楽
-,

Copyright © マブイ All Rights Reserved.