工工四
歌詞
木綿花作て 木綿かせかきて
布美く織らば 里前手巾
訳
木綿の花を栽培し、木綿(糸)で綛を掛けて、
美しい布を織り、彼に手巾を差し上げたい。
かせかき
- 紡いだ糸をH型の枠に巻き取って綛の状態(扱いやすく束ねる)にした後、機織に設置する糸巻きに必要な長さの糸を巻き付ける作業工程を指します。
美
- 清らか
- 美しい
里前
- 「里」は女性が思いを寄せる男性に対して使う言葉。男性が思いを寄せる女性に対して使うときは「無蔵」と呼ぶ。
解説
「木綿花節」は沖縄本島から西へ約100kmに位置する久米島が発祥の地で、島尻郡久米島町仲村渠にある公民館付近には本曲の歌碑が建てられています。
かつて沖縄の女性は糸を紡いで仕立てるまでの工程を全て手作業でおこなっており、大切な人へ手巾を織って差し上げたいと思う健気な女性の慕情を詠み込んだ歌曲となっています。
一本ずつ祈りを込めて織った手巾には旅の災難からその者を守護する力があるとされ、愛する人にむけて織られた手巾を想いの手巾と呼んでいました。
補足
木綿の歴史
沖縄における木綿栽培の歴史は、1611年に琉球王国の高官であった儀間真常(1577-1644年)が薩摩より木綿の種子を持ち帰ったことが始まりとされています。参考『琉球国由来記』
琉球王国時代、木綿織物は人頭税(税金)の貢納布として士族の冬物衣服に用いられており、平民は残されたわずかな木綿織物を利用して手巾を作っていたそうです。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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