古典音楽

「鶴亀節」- 古典音楽

工工四

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歌詞

 

千歳経る松のちとぅしふぃるまつぃぬ みどり葉の下にみどぅりばぬしたに

亀が歌すればかみがうたすぃりば 鶴や舞方つぃるやめかた

 

千年も時を経た松の青葉の下で、

亀が歌を歌えば、鶴は舞手となって踊る

千歳ちとぅし

  • 千年
  • 長い年月

みどり葉みどぅりば

  • 青葉
  • 緑の木の葉

 

解説

鶴亀節つぃるかみぶし」は縁起の象徴である「松」、「鶴」、「亀」にあやかり、人々の健康長寿、子孫繁栄を祈願してまれた歌曲です。

一年を通して葉が枯れることのない「松」の生命力、夫婦仲が良く一生連れ添うわれる「鶴」の家庭円満、千年~万年も生き続ける「亀」の長命に縁起を託しています。

最古の琉歌集である『琉歌百控りゅうかひゃっこう』(※1)には「鶴亀節つぃるかみぶし」とほぼ同じ歌詞が「作米節つぃくたるめえぶし」の項に収められていることから、古くより親しまれてきた歌であることを伺えます。

 

琉歌百控りゅうかひゃっこう』(※1)

上編「乾柔節流けんじゅうせつりゅう」、中編「独節流どくせつりゅう」、下編「覧節流らんせつりゅう」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂へんさんされた最も古い琉歌集です。

 

鶴と亀(作り物)

鶴と亀

 

補足

 

舞踊演目

鶴亀節つぃるかみぶし」は健康長寿、子孫繁栄を祈願する祝儀舞踊「松竹梅すーちくべー鶴亀つぃるかみ)」の演奏曲として構成されています。

松竹梅すーちくべー鶴亀つぃるかみ)」は玉城盛重たまぐすくせいじゅうによって三つの型(松竹梅すーちくべー)が創作され、その後、おいにあたる玉城盛義たまぐすくせいぎが”鶴亀つぃるかみ”の踊りを加えて現在の型になりました。

当初、”鶴亀”のシーンは「黒島節くるしまぶし」と「そんばれ節すんばれーぶし」の二曲で演奏していましたが、演奏時間が長いこともあり「鶴亀節」の一曲に変えた背景があります。

 

略歴

玉城盛重たまぐすくせいじゅう(1868-1945)
沖縄県那覇市首里に生まれる。
近代の沖縄芸能の大化であり、古典正統継承者。
代表する作品には、「谷茶前節たんちゃめーぶし」、「浜千鳥はまちどり」、「むんじゅる」、「貫花ぬちばな」、「花風はなふう」、「加那ヨーかなよー」、「あやぐ」、「松竹梅しょうちくばい」、「金細工かんぜーくぅ」、「川平節かびらぶし」がある。

 

略歴

玉城盛義たまぐすくせいぎ(1889-1971)
沖縄県那覇市下泉町に生まれ、玉城盛重たまぐすくせいじゅうおいにあたる。
沖縄芸能連盟「梅」劇団の副団長、劇団「ときわ座」の顧問、「乙姫劇団」の指導、玉城盛義琉舞研究所を発足し、沖縄芸能の復興と琉球古典芸能の保存継承に尽力する。
代表する作品には、「戻り籠もどりかご」、「松竹梅しょうちくばい鶴亀つるかめ)」がある。

 


 

参考文献(沖縄の本)のイメージ画像
参考文献一覧

書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...

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マブイ

ニライカナイから遊びにやってきた豆電球ほどの妖怪です。

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