工工四
歌詞
赤田首里殿内 黄金灯籠さげて
おれが明かがれば 弥勒お迎へ
訳
赤田にある首里殿内に黄金灯籠を提げて
それが(火が灯され)明るくなったら弥勒様をお迎えしましょう。
赤田
- 現在の那覇市首里赤田町。
首里殿内
- 神殿
- かつて琉球王国を守護する役割を担った高級女神官「大阿母志良礼」が居住した屋敷
- 殿内 = 格式のある屋敷
灯籠
- 照明に用いられた灯火器具
弥勒
- 仏教の弥勒菩薩のこと。沖縄では布袋(七福神の一体、禅僧)の姿で登場するが、その由縁については弥勒の化身などの諸説はあるが明らかとなっていない。
- 幸福をもたらす来訪神として古くより信仰されている
解説
「弥勒節」は実り豊かで平和な世の中をもたらす弥勒様をお迎えし、一年の無病息災、健康安全を祈願して詠まれた歌曲です。
毎年旧暦七月になると首里赤田町では「みるくウンケー」と呼ばれる祭事がおこなわれ、お迎えした弥勒様を先頭に路次楽と呼ばれる吹奏楽隊と弥勒御愛子と呼ばれる子供たちが行列(スネーイ)をなし、首里殿内跡(赤田公民館)を皮切りに町を練り歩きながら幸福招来を祈願します。
路次楽は管楽器の哨吶の音色に銅鑼、鼓、鉦と呼ばれる打楽器でリズムを合わせ、「弥勒節」の歌詞に囃子詞を加えた童歌「赤田首里殿内」のメロディーを奏でます。
赤田首里殿内(童歌)
1.
赤田首里殿内 黄金灯籠さげて
おれが明かがれば 弥勒お迎へ
(囃子)
シーヤープーシーヤープー
ミーミンメーミーミンメー
ヒージントーヒージントー
イーユヌミーイーユヌミー
2.
大国から弥勒 沖縄にいもち
うかけぶしやみそり 弥勒世果報
(囃子)
シーヤープーシーヤープー
ミーミンメーミーミンメー
ヒージントーヒージントー
イーユヌミーイーユヌミー
※二番以降の歌詞は省略
補足
「みるくウンケー」の伝承について
今から三百年ほど前、赤田の首里殿内から派遣された僧侶が、教育・信仰における諸問題を学びに中国へ渡った際、平和をお祈りする弥勒様を授かって赤田に持ち帰ったそうです。
ある年、首里界隈では天然痘や麻疹などの感染症が流行し、多くの犠牲者を出しましたが、赤田の村では一人の犠牲者も出なかったことで弥勒様のおかげであると崇め奉られるようになり、毎年旧暦七月になると赤田の村をあげて「みるくウンケー」を開催するようになったそうです。
参考:『那覇市史 資料編 那覇の民俗/那覇市史編集室』
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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