工工四
歌詞
沈や伽羅とぼす 御座敷に出でて
踊るわが袖の 匂ひのしほらしや
訳
沈香や伽羅を焚いたお座敷に出て、
踊るわが袖に移る匂い(香り)の奥ゆかしいことよ。
沈香と伽羅(ちゃら)
- 沈香と伽羅はジンチョウゲ科の植物から採取される香材のことを指し、熱することにより芳香を放つ。本来の木材に香りはなく、風雨や病気、害虫などにより傷ついた木が防御作用として樹脂を分泌し、長い年月をかけて熟成することで香材が形成される。樹脂が分泌したことによって木に重さが加わり、水に沈み込むことから沈香という名がつく。香材のなかでも香り高い上質なものを伽羅と呼ぶ。
しほらしや
- 奥ゆかしい
- 品のある
解説
「ころく節」は優雅に香り立つ格式のあるお座敷で踊る舞手の心情を詠み込んだ歌曲です。
沈香と伽羅を焚いて芳香を嗜む当時の風習や生活様式をうかがい知ることができます。
名香として名高い奥ゆかしい香りとその希少性は古くより時の権力者が競って買い集めたことにより、一時は金と同じかそれ以上の高価な値段で取引されていたそうです。
補足
節名の由来
「ころく節」の節名の由来については本歌とされる下記の歌詞より命名されたのではないかと考えますが、関連する史料が乏しいためはっきりしたことは分かっていません。
ころく節
小六思ひの 小六一里の なぎの浜の
砂と砂と たとひ思ゆん サイラ小六
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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