工工四
歌詞
うち豆と真豆 我馬小にかり食はち
遊び庭の数に すだち出ぢら
訳
うち豆と真豆を我が愛馬に刈り取って食べさせ、
祭事がある度に飾り立てて出場させてみよう。
うち豆
- 打豆(蓮枷という道具を使用し、大豆を打って脱穀したことから名付けられる) - 参照:『標音・評釈琉歌全集/武蔵野書院版』
- 平たく打ちつぶして乾燥させた豆
真豆
- 小豆 - 参照:『標音・評釈琉歌全集/武蔵野書院版』
- 加工していないそのままの豆
我馬小
- 愛馬
- 私のかわいい馬
※”小”はかわいらしい対象物に親しみを込めて呼ぶ愛称。
遊び庭
- 祭、行事をおこなう場所
- 男女が集まり、歌や芝居を楽しむ広場
すだち
- 飾って
解説
「打豆節」は飼育している馬に栄養のある豆類を与え、色艶に毛並みを整えて、催し事の際は一層に飾り立てお披露目しようと、我が愛馬を愛でて詠まれた歌曲です。
古くより沖縄では農耕用として馬が飼育されており、島に暮らす人々の生活と密接な関係にありました。
「打豆」とは、車棒と呼ばれる木槌で大豆をたたいて莢から取り出す作業のことを指します。
「打豆節」の発祥の地とされる伊江島では旧暦七月になると豊作、豊漁を祈願する「大折目」と呼ばれる祭祀行事がおこなわれ、最終日には馬を引き連れて城山の聖域へ駆け登り、神々に祈りを捧げていました。
補足
発祥の地
「打豆節」は伊江島が発祥の地で、国頭郡伊江村東江上に位置する城山(伊江島タッチュー)の中腹に本曲の歌碑が建てられています。
また、最古の琉歌集である『琉歌百控』(※1)には「打豆節」が収められていますが、出自は久米嶋(久米島)と記されており、どちらの島が発祥の地であるか定かではありません。
『琉歌百控』(※1)
上編「乾柔節流」、中編「独節流」、下編「覧節流」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂された最も古い琉歌集です。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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