工工四

【工工四について】
歌詞
1. 仲良田ぬ米や 離り頂粟ん
2. 粒調び見りば ミリク世が世果報
3. 泡盛ん生らし 御神酒ん造くてぃ
4. わした乙女ぬ 造てぃある御酒
5. うんじゃなし主ぬ前 御側寄てぃ拝がま
6. 御待ちしどぅぶだる 待ちかにどぅぶだる
7. あがらりるけんや あがてぃ食びみしょり
8. 心安々とぅ あがてぃしでぃしでぃら
9. 遊び西表ぬ ふくいばらでむぬ
10. 遊び座ぬ数に 我沙汰みせみせな
訳
1. 仲良田の米も離れ島の頂の粟も
2. 粒を調べてみると見事な稔りである
3. 泡盛を生らして御神酒を造り
4. 私たち乙女が造っているお酒です
5. 恐れ多いことですがお役人様、お側にてご挨拶させてください
6. お待ちしておりました 待ちかねておりました
7. 戴けるだけいただいて食べてください
8. 心おきなくいただき若返りましょう
9. 芸能(歌踊り)が伝わる西表は豊かな村です
10. 宴の場であるがゆえ、どうぞお見過ごし下さい
※10.補足 ・西表民謡誌と工工四/西表をほりおこす会の解説では、「遊び座ごとに私の沙汰をくれぐれもしないよう」にと訳してあります。
仲良田
- 字西表一帯(行政区)に耕された田んぼ
はなれつぢ
- 離れ島の頂 = (外離島)の野底辻を指す
遊び
- 神遊び = 神様に歌や踊りを捧げる(披露する)
解説
「仲良田節」は西表島の西部に位置する祖納、干立集落を舞台に、その年の豊作を祝して詠まれた歌曲です。
西表島の南西部を流れる仲良川の中流付近には、かつて水田を開墾した歴史があり、当時は船で渡ってシコヤと呼ばれる田小屋に泊まり込み、農作業をしていました。
仲良田の名称はこの流域一帯の水田地帯に由来しますが、現在では字西表(行政区)全域にある肥沃な美田に対して総称されるようになりました。
補足
豊年祭(祖納・干立)
毎年旧暦の6月(新暦6月下旬から8月上旬頃)に開催される祖納、干立集落の豊年祭は、一年の収穫を感謝するとともに、集落の子孫繁栄、無病息災、そして来年も豊かな自然の恵みが得られるよう神様に祈りを捧げる伝統行事になります。
豊年祭で演奏される特別な神謡に「仲良田節」があります。
自然の仕組みを知り尽くした島の先人たちは、人間の力では遠く及ばない事象があることを熟知しており、大いなる神の力に感謝を捧げるため、「仲良田節」が代々歌い継がれてきました。
田植えから初穂の奉納までの期間は稲の成長をさまたげるとして、三線や太鼓などの楽器を演奏してはならない習わしがあります。そのため「仲良田節」は一年を通して、シコマヨイ(初穂祝い)から豊年祭までの期間しか歌うことは許されていません。
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「豊年祭」西表島(祖納)
はじめに 琉球古典舞踊「瓦屋節からやー」の一節に構成される「なからた節」の原歌げんかを探さぐるため、西表島の祖納そない集落で執とり行おこなわれる豊年祭に参加してきました。 毎年旧暦の6月(新暦6月下旬 ...
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古典舞踊
古典舞踊のカテゴリーでは「仲良田節」が舞踊曲として演奏される古典演目「瓦屋節(なからた)」について解説しています。
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「瓦屋節」 - 古典舞踊/女踊り
なからた節:歌詞 できやよおしつれてでぃちゃようしつぃりてぃ 眺めやり遊ばながみやいあすぃば 今日や名に立ちゆるきゆやなにたちゅる 十五夜だいものじゅぐやでむぬ 訳 さあ、 ...
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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