工工四
歌詞
高離島や 物知せどころ
にや物知やべたん 渡ちたばうれ
訳
高離島はものの哀れを教えてくれるところ
もう分かりましたので、(故郷に)帰してください。
高離島
- 沖縄県うるま市の勝連半島に属する宮城島の別称。周囲の島々に比べて海抜が高い地形で形成されている。
物知らせどころ
- 不条理
- ものの哀れ
にや
- もう
解説
「高離節」は琉球王国の士族であった平敷屋朝敏(※下記詳細)の妻である真亀が残したとされる琉歌です。
平敷屋朝敏は琉球王府の体制批判(蔡温の強権的な政治に対して)を先導したことにより反逆の罪で逮捕され、後に処刑されてしまいます。
残された妻の真亀は子を連れて高離島へ島流しにあい、離島で生活する地理的な厳しさ、身における立場の苦しさを交えて琉歌に詠み込みました。
略歴
■平敷屋朝敏(1700-1734)
沖縄県那覇市首里金城村に生まれる。(首里士族の家系)
和文学者、和文物語作者
作品には組踊の「手水の縁」をはじめ、「若草物語」、「苔の下」、「萬歳」、「貧家記」、他に和歌や琉歌を残す。
略歴
■蔡温(1682-1762)
沖縄県那覇市久米村に生まれる。
中国から渡ってきた種族の末裔。(久米三十六姓)
若くして即位した尚敬王の国師職(教育係)を務める。
1728年には国政の指揮を執る三司官に就任し、儒教の思想を取り入れながら行政改革をおこなう。
補足
楽曲の変遷
最古の琉歌集である『琉歌百控』(※1)には「高離節」が収められており、出自には与那城間切高離嶋(現・宮城島)と記されています。
うるま市与那城上原(宮城島内)にあるシヌグ堂遺跡エリアには本曲の歌碑が建てられています。
『琉歌百控』(※1)
上編「乾柔節流」、中編「独節流」、下編「覧節流」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂された最も古い琉歌集です。
古典舞踊
古典舞踊のカテゴリーでは「高離節」が舞踊曲として演奏される「湊くり節」について解説しています。
「湊くり節」 - 古典舞踊/二才踊り
湊くり節:歌詞 かさに音たててかさにうとぅたてぃてぃ 降たる夏ぐれもふたるなつぃぐりん なまや打ち晴れてなまやうちはりてぃ てだどてゆるてぃだどぅてぃゆる なまや打ち晴れて ...
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参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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