工工四
歌詞
※楽器のみで演奏される器楽曲
解説
「大主出羽手事」は組踊(※1)の舞台で大主役が登場する際に演奏される器楽曲です。
趣のある旋律に小気味良い節まわしが特徴的で、大主よりも身分の高い按司の手事と比べると幾分抑えた表現で演奏されます。
曲名の「出羽」とは舞台に登場する場面のことを意味しており、「手事」とは筝曲における歌のつなぎ(間奏部分)に由来しています。
組踊の舞台をつなぐ約束事として身分や役柄により「手事」がそれぞれに振り当てられています。
組踊(※1)
琉球王国時代の1718年に踊奉行(式典の際に舞台を指揮、指導する役職)の任命を受けた玉城朝薫により創始された歌舞劇です。
台詞、舞踊、音楽の三つの要素から構成された古典芸能で、1972年に国の重要無形文化財に指定され、2010年には世界のユネスコ無形文化遺産に登録されました。
補足
位階
15世紀頃より、琉球王府は位階制度と呼ばれる身分の序列を制定し、18世紀になると「九品十八階」の制度が確立されました。
按司は国王の親族に位置する特権階級で、若按司は按司の子にあたります。各地域を領地として与えられ、自陣の領地の名をとって家名にする習わしでありました。(※琉球王国の誕生以前は、豪族、首長の位置づけ)
王族の「按司」、「若按司」は最上位に位置しますが、「九品十八階」には含まれないため士族では「大主」が最も上の位階に位置します。
当時は、身に着ける冠(ハチマチ)や簪(ジーファー)の色や素材によって等級、身分を区別していました。
琉球筝
琉球筝は18世紀の初頭に日本本土より伝来したことが始まりとされており、琉球音楽の伴奏楽器として定着してきた歴史があります。
「菅撹」(段物)や「手事」などの歌唱の伴わない器楽曲の他に、「船頭節」、「対馬節」、「源氏節」(歌物)と呼ばれる声楽曲が現在まで継承されています。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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