工工四
歌詞
庭や雪降ゆり 梅や花咲きゆり
無蔵が懐や 真南風ど吹きゆる
訳
庭は雪が降り、梅の花が咲いて(冷え込んでいるが)
愛しい人が懐に寄れば南風が吹く(ようなあたたかさを感じる)
無蔵
- 男性が思いを寄せる女性に対して使う言葉。女性が思いを寄せる男性に対して使うときは「里」と呼ぶ
真南風
- 南の方から吹くあたたかい風
解説
「恋の花節」は季節の情景に恋慕う男女の結びつきを映し重ねて詠まれた歌曲です。
梅の花が咲くころの一時的な冷え込みに対し、逆説的な表現を用いて仲睦まじく寄り添う男女の間柄を描いています。
「恋の花節」は八重山諸島に属する新城島が発祥の地で、現地に伝わる八重山民謡「越の頂節」が本曲の原歌とされています。
また、最古の琉歌集である『琉歌百控』(※1)には「恋花節」の節名で「八重山新城嶋」の出自が記録されています。
『琉歌百控』(※1)
上編「乾柔節流」、中編「独節流」、下編「覧節流」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂された最も古い琉歌集です。
補足
逸話
本曲の歌詞は一説によると今帰仁王子(王族)が詠んだ琉歌とされ、旅の途中で悪天候に妨げられて幾日も足止めを余儀なくされた際、恰好の隠れ家を発見して夜毎に愛を語り合った様子を詠んだものであると云われています。参考:『思出の沖縄/新崎盛珍』
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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