工工四
歌詞
かたき討ち取たる けふのほこらしやや
すぎし按司添も うれしやめしやいら
訳
敵を討ち取った今日のお目出度い日を
過ぎ去りし(亡くなられた)按司添もお喜びになってくださるだろう。
けふ
- 今日
ほこらしや
- 慶び = おめでたい、縁起が良い事柄
按司添
- 按司 = 国王の親族に位置する特権階級。各地域を領地として与えられ自陣の領地の名をとって家名にする習わしがある。
- 添 = 治めるという意味を持つ語句。名前の敬称に使用される。参考:『浦添考/伊波普猷』
解説
親の敵討ちを見事に果たした若按司の積年の思いを詠み込んだ歌曲です。
最古の琉歌集である『琉歌百控』(※1)には「加武喜屋江節」の字があてられ、琉球王国の泰平を詠った琉歌ニ首が収められています。
「カンキヤイ節」の節名は囃子の”カンチャヰ”より命名したものですが、言葉の由来については明らかになっていません。
『琉歌百控』(※1)
上編「乾柔節流」、中編「独節流」、下編「覧節流」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂された最も古い琉歌集です。
称号、位階
15世紀頃より、琉球王府は位階制度と呼ばれる身分の序列を制定し、18世紀になると「九品十八階」の制度が確立されました。
按司は国王の親族に位置する特権階級で、若按司は按司の子にあたります。
各地域を領地として与えられ、自陣の領地の名をとって家名にする習わしでありました。
王族の「按司」、「若按司」は最上位に位置しますが「九品十八階」には含まれないため、「大主」が最も上の位階に位置し、「子」は一般士族の品外となります。
当時は、身に着ける冠(ハチマチ)や簪(ジーファー)の色や素材によって等級、身分を区別していました。
補足
組踊
「カンキヤイ節」の歌詞は敵討ちをテーマとした組踊(※2)の演目終盤で歌われますが、楽曲は「立雲節」、他「ヨシヤイノウ節」の旋律で演奏されます。
組踊(※2)
琉球王国時代の1719年に踊奉行(式典の際に舞台を指揮、指導する役職)の任命を受けた玉城朝薫により創始された歌舞劇です。
台詞、舞踊、音楽の三つの要素から構成された古典芸能で、1972年に国の重要無形文化財に指定され、2010年には世界のユネスコ無形文化遺産に登録されました。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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