工工四
歌詞
赤木名鳥小か はやたへば歌てと
夜深に歌てと 我無蔵や戻る
訳
赤木名の鳥が朝早くに鳴けば、
夜ふけに鳴けば、私の恋人は家に戻る(時間である)。
赤木名
- 奄美大島北部に位置する奄美市笠利利町の中金久、外金久、里の三地区を総称して赤木名地区と呼んでいる。
- 赤木名の地名は一説によると焼き畑(キナ)に由来していると伝わっている。
鳥小
- 鳥 = 本曲では鶏を指す
- 小 = 親しみを込めて呼ぶときに用いられる愛称
はやたへ
早い時間帯
※”流行って”や”囃子て”とする解釈あり。
夜深
夜が深まった
夜ふけ
- 夜明け前の時間帯
我無蔵
私の恋人
※無蔵 = 親しみを込めて男性が女性を呼ぶときの愛称
解説
「赤木名節」は恋人と過ごす束の間の逢瀬を名残惜しんで詠まれた歌曲です。
夜明けを告げる鳥の鳴き声に別れが差し迫っている心寂しい胸中を映し重ねています。
本曲は奄美大島の北部に位置する赤木名地区が発祥の地で、最古の琉歌集である『琉歌百控』(※1)には「笠利間切之内赤木名村」の出自が記されています。
一説によると、赤木名の鳥小は明時の鳥(鶏)のことを指しており、奄美大島で来賓客をもてなす際に鶏の郷土料理をふるまう風習に由縁があるとされています。
『琉歌百控』(※1)
上編「乾柔節流」、中編「独節流」、下編「覧節流」の三部(全601首)からなり、1795年~1802年にかけて編纂された最も古い琉歌集です。
補足
楽曲の変遷
それぞれに歌詞は異なりますが、北中城村や伊江島に「赤木名節」が伝承されており、中頭郡北中城村島袋にある島袋公民館には本曲の歌碑が建てられています。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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