工工四
歌詞
城の前のいちゆびや やのもなれやういちゆびや
わすたが籠小作て もりむかいちゆびや
訳
城の前のいちごよ、来年も稔ってね、いちごよ
私たちが手篭作ってもぎ取りに行くからね、いちごよ。
いちゆびや
- 覆盆子 = イチゴ
やの
- 来年
籠小
- おさまりの良い手篭
もりむか
- もぎ取る
- もぎ入れる
解説
「沈仁屋久節」はかつて首里城の敷地内で栽培されていた木イチゴの実り豊かな生育を願って詠まれた歌曲です。
本曲は別名「高覆盆子節」とも呼ばれ、節名は”木イチゴ”のことを意味し、収穫したあと実をひっくり返すとくぼみ部分が盆の形をしていることに因んでいるそうです。
昔の絵地図には首里城の敷地内脇広場に「高覆盆子畑入口」とあり、王族が栽培管理していた記録が残されています。参照:『首里城又吉千代御内原ポンチ絵』
補足
養生食
高覆盆子はバラ科キイチゴ属に分類される品種を指し、首里城では主にリュウキュウイチゴ、ホウロクイチゴの種が栽培されていたそうです。
沖縄の栄養、健康増進を記した『御膳本草』によると「気力を高め、身が軽くなる。肌の潤いを高め消化吸収を助ける。男女とも長く食べれば子宝を授かる」と記されていることから、王族の養生食として重宝されてきたのでしょう。
参考文献一覧
書籍/写真/記録資料/データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...
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