「上り口説」の旅（前半）

はじめに

「上り口説ぬぶいくどぅち」とは琉球王府の使節しせつが薩摩さつまへ公務に出向く道行みちゆきを詠うたった琉球古典音楽です。

歌詞の中で歌われている旅の道中どうちゅうを辿たどるため、首里城を出発して鹿児島湾に入港にゅうこうするまでの旅の記録を前半と後半に分けてまとめました。

また、航路の途中で寄港きこうする奄美群島あまみぐんとうの島々では、琉球古典音楽にまつわる発祥の地を巡りました。

 

「上り口説」 - 古典舞踊／二才踊り

上り口説：歌詞 1. 旅の出立ちたびぬんぢたち　観音堂くゎんぬんどう　千手観音しんてぃくゎんぬん　伏し拝でふしをぅがでぃ　黄金酌とてくがにしゃくとぅてぃ　立ち別るたちわかる 2. 袖にふる露すでぃにふ ...

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「口説」- 古典音楽

工工四 印刷・保存 【工工四について】   歌詞 1. 旅の出立ちたびぬんぢたち　観音堂くゎんぬんどう　千手観音しんてぃくゎんぬん　伏し拝でふしをぅがでぃ　黄金酌とてくがにしゃくとぅてぃ　立 ...

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歌詞（訳）

1.

旅の出立ちたびぬんぢたち　観音堂くゎんぬんどう　千手観音しんてぃくゎんぬん　伏し拝でふしをぅがでぃ　黄金酌とてくがにしゃくとぅてぃ　立ち別るたちわかる

2.

袖にふる露すでぃにふるつぃゆ　おし払ひうしはらい　大道松原うふどうまつぃばら　歩み行くあゆみゆく　行けば八幡ゆきばはちまん　崇元寺すーぎーじ

3.

美栄地高橋みーじたかはし　打ち渡てうちわたてぃ　袖をつらねてすでぃゆつぃらにてぃ　諸人のむるふぃとぅぬ　行くも帰るもゆくむかえるむ　中の橋なかぬはし

4.

沖の側までうちぬすばまでぃ　親子兄弟うやくちょでー　つれて別ゆるつぃりてぃわかゆる　旅衣たびぐるむ　袖と袖とにすでぃとぅすでぃとぅに　露涙つぃゆなみだ

5.

船の艫綱ふにぬとぅむづぃな　とくどくととぅくどぅくとぅ　船子勇みてふなくいさみてぃ　真帆引けばまふふぃきば　風やまともにかじやまとぅむに　午未うんまふぃつぃじ

6.

またもめぐりあふまたんみぐりあう　御縁とてぐいんとぅてぃ　まねく扇やまにくおーじや　三重城みーぐすぃく　残波岬もざんぱみさちん　後に見てあとぅにみてぃ

7.

伊平屋渡り立つ波いひゃどたつなみ　おしそひてうしすいてぃ　道の島々みちぬしまじま　見渡せばみわたしば　七島渡中もしちとうとぅなかん　灘やすくなだやすぃく

8.

立ちゆるたちゅる｛燃ゆるむゆる｝　煙やちむりや　硫黄が島ゆをぅがしま　佐多の岬にさだぬみさちん　走り並ではいならでぃ　”エイえい”　あれに見ゆるはありにみゆるは　御開聞うかいむん　富士に見まがふふじにみまごう　桜島さくらじま

 

 

前半の行程

 

 

首里城

守礼門しゅれいもんを出発

 

 

 

綾門大道あいじょううふみちを通って、首里城前しゅりじょうまえ交差点を渡ります。

 

 

 

 

交差点を渡って、左手に世界遺産「玉陵たまうどぅん」を通り過ぎます。

 

 

 

 

程ほどなくして、右手に「首里琉染しゅりりゅうせん」。

～ 沖縄伝統の紅型びんがたとさんご染ぞめのお店

 

 

玄関前には「中山門跡ちゅうざんもんあと」の碑

～ かつて、この場所には「守礼門しゅれいもん」と同型同大の門が存在しました。

 

 

 

首里観音堂

 

道なりに進みます。

 

 

 

少し歩くと右手に「慈眼院じげんいん」があります。

 

 

境内けいだいに入ると、目の前に「首里観音堂しゅりかんのんどう」

 

 

 

本堂には「千手千眼観自在菩薩せんじゅせんげんかんじざいぼさつ」がまつられています。

 

 

 

 

 

大道松原

綾門大道あいじょううふみちから来た道を左に曲がると、道路の両端に見事な松があります。

 

 

かつて、この道は松並木が続く景勝地けいしょうちでした。

 

 

 

 

大道だいどう（那覇市にある地名）を道なりに進みます。

 

 

 

佐辺自転車商会さんを目印に右へ曲がる。

 

 

 

安里八幡宮

紫色の旗を目印に緩ゆるやかな坂をのぼります。

 

 

 

程ほどなくして、安里八幡宮あさとはちまんぐうに到着。

 

 

ご社殿しゃでん

～ 琉球八社りゅうきゅうはっしゃの一つに数えられ創建そうけんは最も古いと云いわれています。

 

 

 

安里八幡宮あさとはちまんぐうに建てられている歌碑

～ 恋愛成就を詠うたった琉歌りゅうか

 

 

歌碑：「安里八幡ぬ　松らちゆるうすく　うりが露てはる　ぬかんずくたげに」

意味：安里八幡宮の 松を抱いているアコウの木 その露を頂いて（あやかって） 特別なご縁に結ばれる（※マブイ訳）

 

 

来た道を戻ります。

 

 

 

崇元寺

一旦、佐辺自転車商会さんまで戻り、崇元寺そうげんじ通りの標識を目印に道なりに進みます。

 

 

 

程ほどなく歩くと、崇元寺そうげんじ公園前に到着。

 

 

崇元寺下馬碑そうげんじげばひ

～ 石碑には琉球文で「按司あじも下司げしもくまにて馬から下りるべし」と刻まれており、この場所より、身分に関係なく馬からおりなければなりません。

 

 

切石積きりいしづみの三連の拱門きょうもん

 

 

崇元寺そうげんじ公園内

 

 

 

 

 

 

美栄橋

崇元寺そうげんじ公園を出て、左手にある「崇元寺そうげんじ橋」を目印に交差点を渡ります。

 

 

 

崇元寺そうげんじ橋を渡る。

 

 

 

高架下の交差点を渡って、右手奥の道に進みます。

 

 

 

ジュンク堂書店（那覇店）を目印に、つきあたりを右へ曲がる。

 

 

 

崇元寺そうげんじ橋から辿ってきた道のりは、かつて、那覇が海に浮かぶ浮島であった頃、首里から那覇の往来のために築造ちくぞうされた海中走路かいちゅうどうろの道のりになります。

 

 

 

沖縄都市モノレール「ゆいレール」美栄橋みえばし駅

 

 

 

 

新修美栄橋碑しんしゅうみえばしひ

～美栄橋みえばしは戦争で破壊されたが、1735年（雍正ようせい13）の改修を記録した碑は弾痕だんこんがあるものの原型をとどめる。

 

 

 

一説によると、ガードレールの岩盤が当時の長虹堤ちょうこうていの痕跡こんせきであると云いわれています。

 

 

崇元寺橋そうげんじばしから続く長虹堤ちょうこうていは、美栄橋みえばしを経由して、チンマーサー跡まで続く。

 

 

 

 

沖宮跡

場所を移して、那覇市通堂町とんどうちょうへ向かいます。

 

 

 

隣接するコンテナターミナルへ。（敷地内のため、通行許可が必要。）

 

 

 

120m程歩いたところに沖宮おきのぐう拝所跡

 

 

 

 

来た道を戻り、三重城みいぐすく跡へ向かいます。

 

 

 

三重城跡

隣町の西にし（地名）へ

 

 

 

駐車場裏へ回ります

 

 

 

階段をのぼる

 

 

 

ここにも沖宮おきのぐうがまつられています。

 

 

 

この場所で航海の安全を祈願し、家族や大切な人の出航を見送りました。

 

 

昔の那覇港、三重城みいぐすく周辺の古地図

 

 

 

 

前半の行程はここで終わりです。（※後半の行程は以下リンクより）

 

補足

 

上り口説（後半）

「上り口説ぬぶいくどぅち」（後半）の行程では、那覇港なはこうを出発して鹿児島湾かごしまわんに入港するまでの行程を記録しています。

 

「上り口説」の旅（後半）

はじめに 「上り口説ぬぶいくどぅち」とは琉球王府の使節しせつが薩摩さつまへ公務に出向く道行みちゆきを詠うたった琉球古典音楽です。 歌詞の中で歌われている旅の道中どうちゅうを辿たどるため、首里城を出発し ...

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参考文献一覧

書籍／写真／記録資料／データベース 当サイト「沖縄伝統芸能の魂 - マブイ」において参考にさせて頂いた全ての文献をご紹介します。 尚、引用した文章、一部特有の歴史的見解に関しては各解説ページの文末に該 ...

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